世界初の「熱中症ガイドライン」の御紹介(2)

今回も、日本が世界に先駆けて提唱した熱中症ガイドライン2015を解説している日経メディカルの記事から重要なところを抜粋してお話ししたいと思います。

表1 日本救急医学会熱中症分類2015「付記」(熱中症診療ガイドライン2015より)

熱中症の重症形である「熱射病」の3主徴「意識障害、体温40℃以上、発汗停止」の有無に固執するあまり、病状を過小評価し対応が遅れることを防ぐ狙いがあり、同分類では、暑熱環境にいる、あるいはいた後の体調不良は全て熱中症の可能性があると認識し、対応することを求めている(表1)。

「暑熱曝露が短いほど予後がいいことは明らかであり、熱中症は早期発見・治療が不可欠。現場対応でよいI度と、医療機関の受診を要するII度の見極めは一般市民が行う必要があるため、分かりやすいシンプルな分類となっている」。

ガイドライン執筆者の一人である都立多摩総合医療センター救命救急センター長の清水敬樹氏は、こう説明する。

一方、II度とIII度は医療現場での判断となる。

中枢神経症状、肝・腎機能障害、血液凝固異常などの臓器障害を呈するIII度は入院加療が必要だ。ただし、中枢神経障害はGCS(Glasgow Come Scale)で評価できるが、そのほかは血液検査結果を見なければ判断できない。採血結果がすぐに分からない診療所などでは、「意識レベルや歩行の可否、脈の状態、食事の摂取状況など患者の全身状態から入院治療の必要性を判断してほしい」と三宅氏は話す。

中でも、高齢者に多い非労作性熱中症の場合、「独居や寝たきり、悪性腫瘍や心疾患、精神疾患といった基礎疾患の既往、降圧薬・利尿薬・向精神薬の服用歴などがあれば、入院や死亡のリスクが高いため注意が必要だ」(三宅氏)。

清水氏も、「オーバートリアージでも構わないので、意識レベルが普通でない時点で中枢神経障害を疑い、入院施設のある医療機関に紹介してほしい」と念を押す。

 III度は38℃台まで速やかに冷却

多摩総合医療センターでは、多い年で1シーズンに120人ほどの熱中症患者をERで受け入れている。来院時、意識障害があればIII度と判断し、なければ採血し肝機能腎機能凝固系を確認する。その間に脱水補正のための輸液を行い、採血の結果、異常を認めなければII度と判断し、体調回復を待って帰宅させる。臓器障害が疑われる場合や、II度であっても高齢独居など自己管理が難しそうな場合は、入院させる――というのが大まかなフローだ。

III度熱中症患者の治療についてガイドラインでは、病院到着後は直腸温をモニタリングし、深部体温が38℃台になるまで全身管理の下で冷却処置を効果的に行うことが後遺症を生じさせないために重要、としている。HsSのデータを基に、III度の患者を死亡または中枢神経障害などの後遺症を生じた群と後遺症なく生存できた群に分けて検討したところ、38℃に下げるまでの冷却時間が前者で有意に長いことが示されたためだ。

ガイドラインには、熱中症の予防・治療として、0.1~0.2%濃度の食塩水、現実的には市販の経口補水液の摂取を推奨するなど、一般市民向けの対応も盛り込まれている。「医療現場のみならず、学校や職場、介護現場などでもガイドラインを活用してほしい」と三宅氏は話している。

ガイドラインには、予防の取り組みとして、市販の経口補水液摂取など 一般的なことを取り上げていますが、もう一歩踏み込んで夏になるまでにできる予防対策として、熱中症やその手前の脱水状態の時にいかに、 重症化させないかという観点があります。その中で当クリニックがお勧めしているのは、脳梗塞、や心筋梗塞のリスクをあらかじめ検査で把握しておくというものです。

次回には、この脳梗塞・心筋梗塞のリスク検査 LOX-indexについて御紹介いたしたいと思います。

今回も御一読頂き誠にありがとうございます。

参考 

現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄    

熱中症ガイドライン2015 日本救急医学会    

【日経メディカルAナーシング pick up】2015年6月22日の記事

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