今だからこそ読んでほしい、認知症専門医がおススメする名著⑤ 『アルツハイマー病 真実と終焉』

今回も、認知症専門医がおススメする、デール・ブレデセン氏の著書、『アルツハイマー病 真実と終焉』(ソシム、監修者:白澤卓二氏・訳者:山口茜氏)。その中から一部を抜粋してご紹介いたします。

何度か当ブログでもエッセンスをお伝えしていましたが、この機会に、一度拝読頂ければ幸甚です。少しでも見やすく、理解しやすいように時折箸休め的な挿絵を入れております。原著にはない挿絵なのでご注意ください。

認知機能の回復のほか、改善の維持へと導く治療法

この本は、私の結論を裏付ける科学的エビデンスを掲載しているが、学術書ではない。その代わり、早期アルツハイマー病と、その前段階である軽度認知機能障害(MCI)と、主観的認知機能障害(SCI)における、認知機能の低下を予防、回復、維持する、実践的で使いやすい段階的なマニュアルを掲載した。

本書はまた、ApoE4遺伝子を持つ〔白色人種は14%、日本人は9%が持っていると言われている〕7500万人のアメリカ人たちが、DNAに記された運命から逃れるためのガイドブックでもある。これを達成するためのプロトコルは、2014年に発表した世界初の研究の科学論文につながった(その後の2015年と2016年の3本の論文により、2014年の最初の研究が裏付けられた)。

この論文はアルツハイマー病や、その前段階にある患者10人のうち9人が、認知機能の低下が回復したことを報告したもので、この成果は数十年にわたるアルツハイマー病の神経生物学的研究をベースとした最新の個別化プロトコルによる成果だった。

認知機能の低下(COgnitive DEcline)の回復(Reversal)にちなんでReCODE(リコード法)(このメソッドは当初MEND:metabolic enhancement for neurodegeneration/神経変性に対する代謝促進、と呼んでいたが、内容が古くなったため、より進化した「リコード法」に置き換えた)と名づけた、このプロトコル(治療法)によって、アルツハイマー病とその前段階の患者の認知機能が回復しただけでなく、改善が維持されたのだ。誰もが不可能だと思っていたことだった。

現行のリコード法による治療を受けた、まさに「患者第1号」は、本書の執筆時点で治療5年目に突入している。彼女は73歳という年齢だが、認知機能は健康なままで、世界中を旅し、フルタイムで仕事している。そして、その後の大規模研究により、何百人という患者で、患者第1号が決して特別ではないことが証明された。

2014年の研究を出版して以来、成功を収めたプログラムの詳細が知りたいというEメールや電話が世界中から数千件入り、医師やその他の医療従事者、可能性のある患者や家族たちがアメリカ、イギリス、オーストラリア、アジア、ヨーロッパ、南米各地から訪ねて来た。論文を発表した『Aging』という雑誌のスタッフが電話で知らせてきたことによると、長年にわたって発行してきた何十万本もの論文の中で、私たちの論文は、インパクトと関心を測定する測定基準システムで最高点の2本であったそうだ(99.99パーセンタイル順位)[パーセンタイルとは全体を100としたとき、下から何%にいるのかを表わす]。

最初の論文にはプロトコルの細かい段階的な解説は入れていなかったので(科学雑誌には論文一報につき、ページ制限がある)、本書にはそれを掲載した。

また、リコード法のプロトコルを開発した経緯を詳しく説明し、その科学的基盤を解説した。付録には、食品やサプリメント、そしてリコード法のその他の要素の情報源だけでなく、リコード法に関する知識が豊富で、みなさんや、みなさんの愛する人が実生活でリコード法を行う手助けとなってくれる医師とその他医療従事者へのリンクも掲載した。

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予防と治療の必要性は、これまで以上に高まっている

患者さんの生活を改善するより大切なことはない、という思いが、数十年もの間、アルツハイマー病を予防し、回復する方法の探求へと、私を突き動かしてきた。

だが、十分な数の人がリコード法を実践すれば、その人たちは自分自身をはるかに超える数の人々を助けることになる。というのも、この文章を書いている今、65歳以上の9人に1人、あるいは5200万人のアメリカ人を、アルツハイマー病が襲うと推定されている[2060年における日本人のアルツハイマー病患者数は1150万人と予測されている]。ベビーブーム世代の高齢化により、アルツハイマー病の巨大津波が襲来する恐れがあるのだ。

この津波により高齢者向け医療保険制度(メディケア)と、低所得者向け医療保険制度(メディケイド)が破たんし、国の長期ケア施設が水底に沈む可能性がある。

その犠牲者は言うまでもなく、最愛の人をこの情け容赦ない病気に飲み込まれた何千万という家族が、その波にさらわれていくだろう。

世界的には、1億6000万もの人が2050年までにアルツハイマー病を発症すると予測されている。

これまで以上に、予防と治療の必要性が高まっているのだ。

私が見てきた何百という患者は、認知機能の低下状態から復活した。

医学の定説ではそのような回復は不可能であるにもかかわらず、持ち直したのだ。

このことで、アルツハイマー病の予防と治療は絵に描いた餅ではないことを私は確信した。

今日から、どうすればいいかみなさんにはわかるはずだ。

十分な人数がリコード法を実践すれば、その結果は国と世界に波及する。年間何十億ドルという医療費が削減され、医療保険制度の破たんを防ぎ、認知症への世界的な負担が減って、寿命は延びるだろう。すべては可能だ。

アルツハイマー病の歴史始まって以来の朗報が、とうとう舞い込んできたのだ。人生の回復を祝う喜びの物語がここにある。これから登場する患者の1人は、孫と話しているとき、もう一度未来について考えられたと語った。別の患者は、今までの30年に比べ記憶力がよくなり、あるミュージシャンの妻は、夫のギター演奏が蘇ったという。別の患者の娘は、自分が大学から戻るたびに、ゆっくりと消えかかっていた母親が、もう一度家族の一員になったと話した。

本書であなたが目の当たりにするのは、変化した世界の始まりであり、アルツハイマー病の「終焉の幕開け」である。

この先の内容を紹介しよう。本書『アルツハイマー病 真実と終焉』の第2章から第6章はリコード法へと至った科学の冒険譚だ。

この治療プロトコルの科学的基礎をなす発見、すなわち、「アルツハイマー病の全容は一体どうなっているのか、どこに由来し、なぜこれほど蔓延しているのか」を説明する。

つまりは、認知機能の低下を予防し、リスクを高める、代謝やその他の要因を特定し、認知機能の低下がすでに始まっていても回復する、初の効果的アプローチを裏付ける発見である。

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ここでとりあげられたリコード法、当院でもその考えの元、食事指導、サプリメント、など当院のエビデンスに基づいた治療を行っております。

ご興味ある方は是非当クリニックにお電話ください。

今回も御一読いただき誠にありがとうございました。

文献1)デール・ブレデセン『アルツハイマー病 真実と終焉』

(ソシム、監修者:白澤卓二氏・訳者:山口茜氏)

2)大熊 輝雄:現代臨床精神医学第12版 金原出版株式会社

3)幻冬舎 GOLD ONLINE 新刊書籍を試し読み

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