今回は、動脈硬化がアルツハイマー病(以下ADと略す)の危険因子と考えられるかどうかを述べたいと思います。
動脈硬化はその文字が表わす様に、動脈を構成している組織(動脈壁)が硬くなり、それが原因で動脈の内腔が狭くなることである。
動脈は内膜、中脈、外膜の3層構造を形成している。動脈硬化は、先ず内膜の内皮細胞が破れ、そこからコレステロールが沈着し、その上にマクロファージ(細胞)が内膜の中に侵入する。マクロファージ(細胞)がコレステロールを食しすることで、内皮細胞が肥厚する。その上に血小板が重なって内腔が狭くなり、百々の結果、動脈が閉塞することつまりは血管の閉塞が生じる事により、細胞の新陳代謝が低下(悪化)し、細胞は死に至る。その結果、全身の組織の破壊へと繋がっていくのである。これを動脈硬化、又はアテローム変性と呼称する。
さて、中でもヒトが生きていく為に最も重要な動脈と云えば、脳へ酸素とグルコースを送る【内頸動脈】と、心臓の働きを活性化させる【冠動脈】である。これらに動脈硬化・アテローム変性が強く生じると梗塞が発生し、二つの臓器はその役目を果たせなくなる。
即ち、脳に於いては神経細胞、心臓では心筋細胞が虚血状態となる。それが意味することは、何れの臓器が死に至ることを現している。
動脈硬化と云う現象は、主に高血圧と高脂血症の疾病から発生することであろう。
議論は多々あるだろうが、やはり動脈硬化はADの危険因子の一つではないかと考えている。
今回は一応これまでとするが、他にも考察しているADの危険因子について述べてみたい。
コイノボリの季節のなかで。今川正樹
2013年5月7日