精神科

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症ってどんな病気?

レビー小体型認知症とは?

レビー小体型認知症(DLB)はDementiawithLewyBodiesのことで、神経変性疾患(脳がやせてしまう病気)のひとつであり、一般にはあまり知られていない病名ですが、認知症を生じさせる変性疾患の中ではアルツハイマー病に次いで多い病気です。アルツハイマー病などと同じように進行性の認知症症状がみられますが、記憶の障害は比較的軽度であり、視覚に関する症状などが特徴的です。特に「いないはずの人がみえる」というような幻視や妄想があり、それらに伴って行動面でも問題がみられるようになります。薬の副作用が出やすいといった治療上の難しさも特徴です。

レビー小体型認知症の患者さんはどれぐらいいるの?

認知症全体の約2割という報告があります。年齢とともに増加するといわれています。

なぜレビー小体型認知症になるの?

アルツハイマー病など他の神経変性疾患と同様に、レビー小体型認知症の原因もよくわかっていません。しかし、レビー小体型認知症の患者さんの大脳皮質には、病名にもなっているレビー小体というものが出現します。これは運動機能の障害を起こすパーキンソン病にもみられるものであり、類似の病気であると考えられています。また、アルツハイマー病と同様に、大脳皮質のアセチルコリンという物質の濃度が低いということもわかっています。レビー小体型認知症の患者さんの脳をMRIでみると、脳全体の萎縮(やせ)がみられます。アルツハイマー病と比べて主に記憶を受けもつ海馬の萎縮が軽度な点が、記憶障害が比較的軽度であることと関係があると考えられています。また,SPECTという検査では後頭葉の機能の低下が示され、幻視などの視覚にかかわる症状に関与していると考えられます。

レビー小体型認知症の症状は?

特徴的な症状は、①幻視、②注意・認知機能の変動、③パーキンソニズムです。

幻視


いない人や小動物がみえる。単に「人がいるように感じる」という思い込みではなく、とても生々しく「みえる」ので、それに対して怖がったり困惑したりします。

症状の変動


注意・認知機能が変動する。日によって、あるいは時間帯によって症状に大きく変動があります。正常と思える時もあれば、ひどく混乱したようにみえる時もあります。同じ認知機能検査を繰り返すと、毎回点数が変わります。

運動機能障害


パーキンソニズムがみられる。歩きにくい、動きがぎこちない、遅い、手が不器用になる、などの運動機能の障害がみられます。

レビー小体型認知症の治療は?

通常の認知症と同様に、中心の症状である認知機能の障害を改善することは困難です。レビー小体型認知症では認知機能の障害よりも、幻視や妄想などの精神症状やパーキンソニズムに困る場合が多いので、それに対して薬物を使用します。しかし、レビー小体型認知症の特徴である薬物への過敏性が治療を困難にすることもあります。

抗精神病薬

幻視や妄想、さらにはせん妄(一時的に意識の混濁した状態)といった精神症状に対して使われる薬物です。ドーパミンの作用を抑制する作用があります。このグループの薬物には、パーキンソニズムを生じさせてしまうという副作用が伴います。もともとレビー小体型認知症にはパーキンソニズムが症状としてみられるため、抗精神病薬を使用することで、パーキンソニズムを助長してしまう可能性があります。もともとの症状なのか、薬物による副作用かを見極めることは困難であり、治療上の問題となります。さらに重要なこととして、レビー小体型認知症は抗精神病薬に対して過敏性を示すということです。通常よりもパーキンソニズムなどの副作用が出やすいのです。近年、パーキンソニズムの出にくい抗精神病薬である「非定型抗精神病薬」が使用されるようになり、レビー小体型認知症の治療にも不可欠なものとなっています。

塩酸ドネペジル

アルツハイマー病に使用される薬物です。大脳のアセチルコリンの濃度を高める作用があり、それにより認知機能がいく分改善するといわれています。妄想や幻覚、焦燥など、認知症にみられる精神症状に対しても有効であるとされます。アセチルコリンに関わる神経の変性や脱落はアルツハイマー病よりもレビー小体型認知症に強く、さらに大脳皮質のアセチルコリンの濃度低下もレビー小体型認知症の方が高度だといわれています。そのため、ドネペジルの有効性はアルツハイマー病よりもレビー小体型認知症に現れやすいという可能性も考えられます。

抗パーキンソン病薬

認知症症状よりもパーキンソニズムが先に現れる場合、パーキンソン病の治療に使われるレボドパなどの抗パーキンソン病薬が有効です。パーキンソニズムが後から現れる場合は、この薬物の副作用としての精神症状がレビー小体型認知症の症状と区別できなくなり、治療が困難となることが多いです。

レビー小体型認知症の薬物療法

『老化によるもの忘れ』と『認知症によるもの忘れ』の違い

老化によるもの忘れ

  • 体験の一部分を忘れる
  • 新しい出来事を記憶できる
  • ヒントを与えられると思い出せる
  • 時間や場所など見当がつく
  • 日常生活に支障はない
  • もの忘れに対して自覚がある
認知症によるもの忘れ

  • 体験全体を忘れる
  • 新しい出来事を記憶できない
  • ヒントを与えられても思い出せない
  • 時間や場所などの見当がつかない
  • 日常生活に支障がある
  • もの忘れに対して自覚がない

原因疾患の比較

認知症のタイプ 病変 特徴
アルツハイマー病型認知症 脳全体が縮む 全体的に低下
脳血管性認知症 血管が詰まったところから先の脳細胞にダメージ 階段状に低下
症状がまばら
前頭側頭型認知症 前頭、側頭葉が縮む 無頓着
時として非社会性
レビー小体型認知症 後頭部にも縮みが及ぶ(ものを見る中枢) パーキンソン症状
幻視

認知症を疑う日常生活の変化

  • 人に会う約束を忘れる、待ち合わせの時刻や場所をよく間違えるようになった
  • スケジュールを立てる、料理を手順どおりに作るなどの段取りや仕事が出来なくなった
  • 買い物をしたとき、小銭を出さずにお札で払うことが多くなった
  • 同じ献立ばかり続くようになった、味付けが明らかに変わった
  • 老人会など近所の人たちとの交流が急に減った
  • 大事なものをしまった場所や、しまい込んだこと自体を忘れることが多くなった
  • 午前中に話したことを午後には覚えていないことがある
  • 孫の名前を時々混同するようになった
  • 鍋に火をかけたことを忘れてよく焦がすようになった
  • 同じ服を何日も着ているようになった
  • 食品など、同じものを何度も買ってくることが増えた
  • 理由がはっきりしないのに痩せてきた
  • 電話をしたことを忘れ、同じ内容の電話をかけてくるようになった

家族が認知症に気づいた変化の発生頻度

家族が異常に気付いてから受診までの期間は3分の2が2年以上

  • 同じことを何度も言ったり聞いたりする(45.7%)
  • ものの名前が出てこなくなる(34.3%)
  • 置き忘れやしまい忘れが目立った(28.6%)
  • 時間や場所の感覚が不確かになった(22.9%)
  • 病院からもらった薬の管理ができない(14.3%)
  • 以前はあった関心や興味が失われた(14.3%)

※その他、ガス栓の締め忘れ、計算の間違いが多い、怒りっぽくなったなど

認知症の人のために家族ができる10ヶ条

  • 見逃すな「あれ、何かおかしい」は大事なサイン。
  • 早めに受診を。治る認知症もある。
  • 知は力。認知症の正しい知識を身につけよう。
  • 介護保険など、サービスを積極的に利用しよう。
  • サービスの質を見分ける目を持とう。
  • 経験者は知恵の宝庫。いつでも気楽に相談を。
  • 今できることを知り、それを大切に。
  • 恥じず、隠さず、ネットワークを広げよう。
  • 自分を大切に、介護以外の時間を持とう。
  • 往年のその人らしい日々を。

(認知症の人と家族の会、2008より引用))

精神科

  1. アルツハイマー病型認知症

    アルツハイマー病型認知症

    日本人で一番多い認知症です。脳が徐々に萎縮し直前の事が思い出せない等から始まります。来年度新薬の発売が期待されています。

  2. 脳血管性認知症

    脳血管性認知症

    日本人で二番目に多く、高血圧、糖尿病、脂質異常等の生活習慣の乱れ等が原因とされ、脳の血管の異常から起こる認知症です。

  3. レビー小体型認知症

    レビー小体型認知症

    日本人で三番目に多い認知症で、一般的な物忘れに加えて、特徴的な症状は、①幻視、②注意・認知機能の変動、③パーキンソニズムです。

  4. 前頭側頭型認知症

    前頭側頭型認知症

    アルツハイマー病と同じ神経変性疾患ですが、脳の前頭葉や側頭葉に限局した萎縮がみられます。認知機能の障害よりも行動面の問題が目立ち、家族による介護が困難となります。

  5. うつ病

    うつ病

    ①憂うつな気分②気力がない③考えがまとまらない等の症状が2週間以上ほぼ毎日続く病気です。不眠、頭が重たい等の症状もでます。

  6. 適応障害

    適応障害

    日常生活の中で起こった出来事や環境に対してうまく対処できず心身の症状で社会生活に支障をきたす状態、ストレスの原因が明確である事が重要です。

  7. 発達障害

    発達障害

  8. 統合失調症

    統合失調症

  9. 不安

    不安

  10. 不眠

    不眠

  11. アルコール依存症

    アルコール依存症

    依存症は、日々の生活や健康、大切な人間関係や仕事などに悪影響を及ぼしているにも関わらず、特定の物質や行動をコントロールできない状態です。