高齢者の睡眠

9月に入って、残暑に台風に雷、天候がころころ変わる日が続くと体調を崩しやすいです。皆様いかがお過ごしでしょうか? こう暑い日が続きますと障害されやすいもの、今回は睡眠がテーマです。

特に最近は、高齢者の睡眠、認知症と睡眠の関係が注目され、テレビや雑誌などで特集されています。これから数回にわたり、できるだけわかりやすくぜひ知っていただきたい基本的な睡眠の知識をお伝えできればと考えています。

今回は、高齢者と睡眠についてお話していきます。

まず、大前提として年齢とともに睡眠は変化します。健康な高齢者の方でも睡眠が浅くなり、中途覚醒や早朝覚醒が増加します。また睡眠を妨げるこころやからだの病気にかかると、不眠症や睡眠時無呼吸症候群などのさまざまな睡眠障害が出現します。原因に合わせた対処や治療が必要です。

年齢とともに睡眠が変化する

年齢とともに体力が落ち、老眼になり、白髪が増えます。それと同じように睡眠にも変化が生じます。

若年者と高齢者の睡眠の比較

第一の変化は、高齢者では若い頃にくらべて早寝早起きになることです。これは体内時計の加齢変化によるもので、睡眠だけではなく、血圧・体温・ホルモン分泌など睡眠を支える多くの生体機能リズムが前倒しになります。

したがって高齢者の方の早朝覚醒それ自体は病気ではありません。眠気が出たら床につき、朝方に目が覚めて二度寝ができないようであれば床から出て朝の時間を有意義に使いましょう。

第二の変化は、睡眠が浅くなることです。睡眠脳波を調べてみると、深いノンレム睡眠が減って浅いノンレム睡眠が増えるようになります。そのため尿意やちょっとした物音などでも何度も目が覚めてしまうようになります。夜中に何度もトイレに目が覚めるのを気にして、夜あまり水分を取らないなどの対処される方もいらっしゃいますが、 夏場、エアコンをつけずに、水分をあまりとらず寝てしまうと、熱中症で命の危険もあるので気を付けましょう。

今回も御一読頂き誠にありがとうございます。

参考 

現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄

e-ヘルスネット 厚生労働省

榎本みのり 

認知症の睡眠障害. 老年医学 45:739-743, 2007.

三島和夫

高齢者・認知症患者の睡眠障害と治療上の留意点. 精神医学 49:501-510, 2007.

独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター(精神保健研究所・精神生理部)

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脳梗塞・心筋梗塞のリスク検査

今回は、熱中症を重症化させないための一つの予防対策として、 LOX-index をご紹介いたします。 特に、脳梗塞は6-8月に多く、次に冬に多いので、注意が必要です。

LOX-indexとは、動脈硬化の進行リスクを測定し、将来の脳梗塞、 心筋梗塞の発症リスクを評価する検査です。将来のリスクを知ることで 予防や改善へ役立てていただくための指標であり、疾患の有無を 確定するためのものではありません。

検査方法は、日本国内で行われた約2500名を11年追跡した研究 成果がベースとなっており、血液中に存在する“sLOX-1(LOX -1の血中濃度)“と”LAB(参加変性したLDL)“の2項目を測定 し、その積をLOX-indexとして評価しています。

リスク評価は、 高リスク、中高リスク、中リスク、低リスクの4段階となります。 リスクの設定方法は大阪府の吹田市で行われた吹田スタディに基づき、 パラメトリック法を用いて評価を行っています。

脳梗塞もしくはラクナ梗塞のリスクをあまり気にせず放置すると、熱中症時の重症化のリスクになるだけでなく、将来において認知症発症のリスクを高めることにつながることもあるかもしれません。

気になることがあれば気軽に当クリニックへご相談ください。

今回も御一読いただき誠にありがとうございました。    

参考 

現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄    

DSM-5 医学書院 日本精神医学学会  

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世界初の「熱中症ガイドライン」の御紹介(2)

今回も、日本が世界に先駆けて提唱した熱中症ガイドライン2015を解説している日経メディカルの記事から重要なところを抜粋してお話ししたいと思います。

表1 日本救急医学会熱中症分類2015「付記」(熱中症診療ガイドライン2015より)

熱中症の重症形である「熱射病」の3主徴「意識障害、体温40℃以上、発汗停止」の有無に固執するあまり、病状を過小評価し対応が遅れることを防ぐ狙いがあり、同分類では、暑熱環境にいる、あるいはいた後の体調不良は全て熱中症の可能性があると認識し、対応することを求めている(表1)。

「暑熱曝露が短いほど予後がいいことは明らかであり、熱中症は早期発見・治療が不可欠。現場対応でよいI度と、医療機関の受診を要するII度の見極めは一般市民が行う必要があるため、分かりやすいシンプルな分類となっている」。

ガイドライン執筆者の一人である都立多摩総合医療センター救命救急センター長の清水敬樹氏は、こう説明する。

一方、II度とIII度は医療現場での判断となる。

中枢神経症状、肝・腎機能障害、血液凝固異常などの臓器障害を呈するIII度は入院加療が必要だ。ただし、中枢神経障害はGCS(Glasgow Come Scale)で評価できるが、そのほかは血液検査結果を見なければ判断できない。採血結果がすぐに分からない診療所などでは、「意識レベルや歩行の可否、脈の状態、食事の摂取状況など患者の全身状態から入院治療の必要性を判断してほしい」と三宅氏は話す。

中でも、高齢者に多い非労作性熱中症の場合、「独居や寝たきり、悪性腫瘍や心疾患、精神疾患といった基礎疾患の既往、降圧薬・利尿薬・向精神薬の服用歴などがあれば、入院や死亡のリスクが高いため注意が必要だ」(三宅氏)。

清水氏も、「オーバートリアージでも構わないので、意識レベルが普通でない時点で中枢神経障害を疑い、入院施設のある医療機関に紹介してほしい」と念を押す。

 III度は38℃台まで速やかに冷却

多摩総合医療センターでは、多い年で1シーズンに120人ほどの熱中症患者をERで受け入れている。来院時、意識障害があればIII度と判断し、なければ採血し肝機能腎機能凝固系を確認する。その間に脱水補正のための輸液を行い、採血の結果、異常を認めなければII度と判断し、体調回復を待って帰宅させる。臓器障害が疑われる場合や、II度であっても高齢独居など自己管理が難しそうな場合は、入院させる――というのが大まかなフローだ。

III度熱中症患者の治療についてガイドラインでは、病院到着後は直腸温をモニタリングし、深部体温が38℃台になるまで全身管理の下で冷却処置を効果的に行うことが後遺症を生じさせないために重要、としている。HsSのデータを基に、III度の患者を死亡または中枢神経障害などの後遺症を生じた群と後遺症なく生存できた群に分けて検討したところ、38℃に下げるまでの冷却時間が前者で有意に長いことが示されたためだ。

ガイドラインには、熱中症の予防・治療として、0.1~0.2%濃度の食塩水、現実的には市販の経口補水液の摂取を推奨するなど、一般市民向けの対応も盛り込まれている。「医療現場のみならず、学校や職場、介護現場などでもガイドラインを活用してほしい」と三宅氏は話している。

ガイドラインには、予防の取り組みとして、市販の経口補水液摂取など 一般的なことを取り上げていますが、もう一歩踏み込んで夏になるまでにできる予防対策として、熱中症やその手前の脱水状態の時にいかに、 重症化させないかという観点があります。その中で当クリニックがお勧めしているのは、脳梗塞、や心筋梗塞のリスクをあらかじめ検査で把握しておくというものです。

次回には、この脳梗塞・心筋梗塞のリスク検査 LOX-indexについて御紹介いたしたいと思います。

今回も御一読頂き誠にありがとうございます。

参考 

現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄    

熱中症ガイドライン2015 日本救急医学会    

【日経メディカルAナーシング pick up】2015年6月22日の記事

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世界初の「熱中症ガイドライン」の御紹介

最近本当に暑い日が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか? これだけ暑いと本当に怖いのが熱中症です。どれだけ恐ろしいかというと、「ひらパー」の愛称で知られる大阪府枚方市の遊園地「ひらかたパーク」で7月、着ぐるみ姿でショーの練習をしていたアルバイト男性(28)が熱中症で死亡されました。男性が着ぐるみ姿で踊ったのは日没後のわずか20分間。複数の要因が重なった事故とみられますが、今後は熱中症に対し、一人一人が正しい知識を身に着け 予防をしていかないといけません。

そこで今回は、世界初の熱中症専用のガイドラインである、日本救急学会が発行されている、「熱中症ガイドライン2015」をご紹介したいと思います。以下は【日経メディカルAナーシング pick up】2015年6月22日の記事からの抜粋になります。

2015年3月、日本救急医学会が国内外で初となる「熱中症診療ガイドライン2015」を発行した。 「わが国のひと夏(6~9月)の熱中症の発生数は、多い年で40万人。死者こそ少ないが、年間の脳卒中患者数に匹敵する数でありインパクトは大きい。一方で、治療といえば輸液など教科書的な記載しかないことから、国内外の知見を集め体系化したいと考えた」。ガイドライン作成委員長を務めた三宅康史氏(昭和大学医学部救急医学講座教授)は、発行の経緯をこう説明する。 ガイドラインは、「予防・治療には何を飲めばいいか?」「熱中症の重症度の判定は?」「新たな冷却方法の有効性は?」など、11のクリニカルクエスチョンから成る。全国の救命救急センターや大学病院などを対象に隔年で行っている熱中症の全国調査「Heatstroke STUDY」(HsS)をはじめ、国内の診療実態も反映した内容だ。

まず、大事なのは、熱中症では、大量の発汗があり、めまい、立ち眩み、生あくびなど、つい見逃しがちな初期症状があり、頭痛や虚脱感、倦怠感などがあれば、甘くみず、病院に行った方がいいという事です。特に認知症の初期症状で、体温調節がうまくできなくなり、リモコンの使い方がわからなくなった方は、エアコンをつけようとしません。夜間自宅でも、熱中症にかかる可能性があります。御家族様がよく注意してあげて、熱中症予防に取り組みましょう。

次回も、熱中症ガイドライン2015 から重要なことをお話ししたいと思います。

今回も御一読頂き誠にありがとうございます。

参考 

現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄    

熱中症ガイドライン2015 日本救急医学会    

【日経メディカルAナーシング pick up】 2015年6月22日の記事

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ホルモンは認知機能の最適化に重要な役割 <リコード法の基本と尼崎療法の共通点(5)>

前回は、炎症反応、ストレスのお話をしました。 その際にストレスに係る、コルチゾールというホルモンについてお話ししました。実はホルモンも認知機能の最適化に重要な役割をはたしています。今回はホルモンについていくつかお話ししてきたいと思います。

多くのホルモンは特にシナプスの形成と維持をサポートすることにより、認知機能の最適化に重要な役割を果たします。ホルモンレベルが低下し、バランスがシナプスを破壊する側になると認知力は低下する。特に重要なものを以下にお話ししていきます。

アルツハイマー病(認知症、軽度認知機能障害、主観的認知機能障害)では一般的に甲状腺機能が低下している。 甲状腺機能は代謝速度にも影響し、心拍数や頭の冴えにも影響する。 なので甲状腺ホルモンの状態を知る事は必須。 甲状腺ホルモンの状態は「遊離T3」「遊離T4」「リバースT3」「TSH(甲状腺刺激ホルモン)」 のレベルを測定する事で評価できる。 方法は簡単で自分の代謝スピードは「基礎体温」を測れば簡単に測定できる。

(方法)

(1)夜寝る前に体温計をベットの隣に置いておき、起床後直ぐに測れる状態にしておく。

(2)朝起床後直ぐ(ベットから出る前)に体温計で体温を測る。

(3)体温が36.6~36.8度の間にあれば問題ないが、体温が低い時は甲状腺機能の低下の可能性がある。

以前にお話しした栄養素、炎症だけでなく、ホルモン値の測定も非常の重要です。甲状腺ホルモンの基準値を以下に示します 。

遊離T3(活性型で寿命約1日の甲状腺ホルモン):最適レベルは3.2~4.2pg/ml

遊離T4(寿命約1週間の貯蔵型ホルモン):最適レベルは1.3~1.8ng/ml

リバースT3(甲状腺の活性化を阻害):最適レべルは20ng/dl未満

TSH(甲状腺刺激ホルモン):最適レベルは2.0μIU/mL未満

多くの医師がチェックするのは「TSHのみ」。TSHだけでは甲状腺機能が低下した患者を多数見逃す。 TSH高値は甲状腺機能の低下を示す可能性があり、一般的な正常値は0.4-4.5μIU/Lであるとされているが、2.0を超えていれば、全て検討する必要がある。

しかし実際にはTSHが正常値でも甲状腺機能が低下している可能性がある為、追加の甲状腺ホルモン検査を行う必要があります。

性ホルモンのエストロゲンも、認知症の予防において決定的な役割を果たしている。 エストロゲンとプロゲステロン、エストラジオールとプロゲステロンの比率も重要。この比率が高いと「物忘れ」と「記憶力の悪さ」に関連する。

(目標値)

エストラジオール:50~250pg/mL

プロゲステロン:1~20ng/mL

エストラジオール/プロゲステロン比:1/10(症状により最適化する)

性ホルモンのテストステロンはニューロンの生存をサポートする。(男性の方がより高濃度)

テストステロン濃度が低い(全体最下位1/5に該当するレベル)

男性はアルツハイマー病のリスクが高い。

(目標値)

総テストステロン濃度=500~1000ng/dL

遊離テストステロン=6.5-15ng/dL

今回は、認知機能に係る特に重要なホルモンをお話ししました。 これらのホルモンは認知機能ばかりでなく、精神症状に係るものとして、精神科でも有名なホルモンになります。特に、甲状腺ホルモン、エストロゲンは、女性において特に更年期障害の時期に重なり、大きく変動します。ただの更年期障害とあまり気にせず放置すると将来において認知症発症のリスクを高めることにつながることもあるかもしれません。

気になることがあれば気軽に当クリニックへご相談ください。

今回も御一読いただき誠にありがとうございました。    

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現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄

 アルツハイマー病 真実と終焉 ソシム デール・ブレデゼン    

東洋経済オンライン2018年2月16日。5月11日

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慢性ストレスは認知機能を低下させる大きな要因<リコード法の基本と尼崎療法の共通点(4)>

今回は炎症と免疫システム、ストレスについてお話ししたいと思います。

慢性的に活性化された免疫システムは、自分の体の細胞を攻撃することがあります。ですから炎症がどれくらい体で起こっており、そのため免疫システムがどのような状態であるのか把握することが認知症予防に重要な要素となります。

炎症に極めて重要な測定項目

1) C反応性タンパク質(CRP)

あらゆるタイプの炎症に反応して肝臓で産生。

リコード法においては高感度CRP(hs-CRP)は0.9mg/dl未満であるべきとされている。この値が高い場合、糖分・単純炭水化物・トランス脂肪酸等の取りすぎ、リーキーガット、グルテン感受性、口腔内の不衛生、特定毒物等が炎症の発生源として疑われる 。

(2)血中アルブミン対グロブリン比

炎症の補完的指標。1.8あればベスト。

(3)赤血球中オメガ6脂肪酸対オメガ3脂肪酸比

オメガ6は炎症性、オメガ3は抗炎症性。

目標値:オメガ6/オメガ3比:0.5以上3未満

(4)インターロイキン6(IL-6)と腫瘍壊死因子α(TNFα)

炎症性(1型)アルツハイマー病において増加する可能性のある多くのサイトカインの仲間。

目標値:IL-6:3pg/mL未満、TNFα:6.0pg/mL未満

慢性ストレスは認知機能を低下させる大きな要因

ストレスは認知機能を低下させる最も重要な要因のひとつである。

ストレスホルモンの1つであるコルチゾール値が高いと、ニューロンに損傷を与え、特に海馬では慢性ストレスが海馬損傷の重要な原因となり、認知機能(特に記憶力)を低下させる。

慢性的なストレスは、HPAアクシスの機能不全につながる可能性がある。

これが起こると、副腎は感染、毒物、睡眠不足などのストレスに対処するホルモンを十分産生できなくなり、ストレス要因に非常に敏感になり、認知機能が悪化する可能性がある。

コルチゾール値の急速な減少は、それ自体が海馬ニューロンの喪失につながる可能性がある。

(目標値)コルチゾール(朝):10~18mcg/dL

当クリニックでは、以前にこのブログでもお話しした通り、以前から特に海馬に注目しております。海馬の萎縮を頭部MRI、中でもVSRADという脳ドックではあまり行われない特別な方法で海馬の萎縮を早期に発見し、できるだけ、脳血流を増やし、栄養状態を管理し、脳トレーニングを指導し、適度な運動をしていただくことで海馬新生を促していくのが当クリニックの治療方針になっております。

また、認知症専門であるだけなく、心療内科、精神科としても専門医であるため、ストレスに関してよくお話を伺い、きちんと把握して、適切な治療をすすめていきます。

最近、ストレスが多いと感じてたり、睡眠がうまくとれずに悩まれている方。ほおっておくと、将来認知症になりやすくなるリスクを放置することにもつながります。

悩まず、早めに当クリニックに相談されることをおすすめします。

今回も御一読頂き誠にありがとうございます。    

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現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄    

アルツハイマー病 真実と終焉 ソシム デール・ブレデゼン    

東洋経済オンライン2018年2月16日。5月11日

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リコード法の基本と尼崎療法の共通点(3)

インスリン抵抗性はアルツハイマー病の一因になる

また、現代の日本においては、摂取しすぎる栄養素の問題もあります。その一番の要素は、糖質になります。

人間の体は1日に約15グラムを超える砂糖を処理するようには作られていない。これはソフトドリンク1杯よりずっと少ない量になります。

グルコース(ブドウ糖)は血中濃度が一定値を超えると体に毒となる為、体から大量のインスリンがグルコース(ブドウ糖)を抑制しようと分泌されるが、グリセミック・インデックス(GI値)の高い食品を取ると、血中のブドウ糖が急上昇する為、ブドウ糖の血中濃度を急いで下げようと、膵臓から大量のインスリンが分泌される。

そして、細胞は絶え間なく流れるインスリンに対しては反応しなくなる。これがインスリン抵抗性と呼ばれるものです。

慢性的なインスリン高値はインスリン抵抗性をもたらし、インスリン抵抗性はアルツハイマー病の一因となる。理由は2つあります。

(1)インスリン抵抗性は2型糖尿病や脂肪肝、メタボリックシンドロームだけでなく、アルツハイマー病の一因にもなる。

その理由は、インスリンのシグナル伝達はニューロンの生き残りを助ける最も重要なシグナルのひとつだからです。 インスリンはインスリン受容体に結合し、ニューロンの生き残りを助けるシグナル伝達を引き起こす。このサバイバル・シグナルは、慢性的にインスリン値が高いと鈍化する。

(2)血糖値を下げる役目を終えたインスリンを分解する酵素をIDE(インスリン分解酵素)というが、このIDE(インスリン分解酵素)は、脳の中でアミロイドβの分解も担当している。

そして、IDE(インスリン分解酵素)はアミロイドβの分解とインスリンの分解の両方を同時に実行できない。

インスリン抵抗性がつくと、IDE(インスリン分解酵素)はより通常より多く分泌されるインスリンの分解で手が回らなくなり、アルツハイマー病の原因となる過剰なアミロイドβの分解ができなくなる。その結果、アミロイドβ値は上昇し、アルツハイマー病の原因となる。

高血糖は多数の異なるタンパク質に接着し、タンパク質の機能を妨げる。

グルコース(ブドウ糖)分子は、生化学的反応を起こし、AGE(終末糖化産物:毒性の高い老化タンパク質の1つ)を産生する。

AGEは体に様々なダメージを与える

AGE(終末糖化産物:毒性の高い老化タンパク質の1つ)は体に様々なダメージを与える。

(1)AGEは炎症の引き金となる。

(2)AGEはDNAや細胞膜にダメージを与える。

(3)AGEは血管を傷つけ、脳への栄養供給を減らし(2型アルツハイマー病の原因)、血液と脳の間のバリアにある漏れの原因となる。(1型アルツハイマー病の原因)

(4)動脈硬化や骨粗しょう症、白内障などにも関連。 インスリン抵抗性や高血糖を改善する為、以下の目標を達成できる対策を講じる事。

・空腹時インスリン値:4.5μIU/ml以下

・空腹時血糖値:90mg/dl以下

・ヘモグロビンA1c(エイワンシー):5.6%未満

アルツハイマー病予防の観点からは、糖尿病の早期発見・早期治療がものすごく重要だと考えています。一年に一回の健康診断、人間ドックではペースが遅く心配です。また、他の高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病もアルツハイマー病の次に多い、脳血管型認知症の原因となります。

当クリニックでは、生活習慣病の早期発見、早期治療にも力を入れております。内科学会にも所属しておりますので最新の治療薬をいち早く取り入れております。

少しでも気になる方がいらっしゃれば、お気軽の当クリニックまでご相談ください。

次回は、炎症と免疫システム、ストレスについての考え方をお話したいと思います。

今回も御一読頂き誠にありがとうございます。

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現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄    

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東洋経済オンライン2018年2月16日。5月11日

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リコード法の基本と尼崎療法の共通点(2)

今回の、リコード法と当クリニックでの尼崎療法の共通点についてお話ししたいと思います。今回からは、より実践的な内容になっております。

ホモシステイン値が上昇すると血管と脳にダメージ

普段の食事とその栄養素に注目することがリコード法と尼崎療法との共通点となります。

ホモシステイン値が高い事はアルツハイマー病の重大要因と考えられます。ホモシステインは、必須アミノ酸のひとつであるメチオニンの代謝における中間生成物です。

シナプス喪失の3つの原因(炎症、シナプス補助栄養因子の喪失、毒素)のうち、ホモシステインは炎症とシナプス栄養補助因子の指標と考えられています。

炎症マーカーでもあるが、栄養の供給が不足しても値が上昇します。

ビタミンB12、ビタミンB6、葉酸、アミノ酸ベタインが欠乏すると、ホモシステイイン値が上昇し、脳と血管にダメージを与える事になります。

ホモシステイン値が6より上昇するほど、海馬の委縮が速くなります。

ホモシステイン値を低く最適に保つには、ビタミンB6、葉酸(ビタミンB9)、ビタミンB12が活性型で十分な水準にある必要がある。

なお、活性型ビタミンB6はP5P(ピリドキサール5リン酸)の事、活性型葉酸はメチル葉酸の事、活性型ビタミンB12はメチルコバラミンの事である。

具体的には検査値が以下の水準にある事を目標となります。

・(活性型)ビタミンB6:30~60マイクログラム/L(mcg/L)

・(活性型)葉酸:10~25ng/mL

・(活性型)ビタミンB12:500-1000pg/ml

ビタミンD3は脳のシナプス生成と維持に不可欠

ビタミンD3は900以上の遺伝子を活性化するが、その遺伝子にはリコード法にとても重要な「脳のシナプス生成と維持」に不可欠なものもある。その為、これらの遺伝子と、その遺伝子を活性化するビタミンD3は、脳シナプスの生成と維持に必要不可欠、ビタミンD3が足りないと、適切な遺伝子が正しく活性化されない。

(ビタミンDの目標値)

血清25ヒドロキシコレカルシフェノール(不活型ビタミンD3)値:50~80ng/ml

当クリニックでは、初診時から血中ビタミン濃度や血中鉄濃度を測定し、栄養状態を確認したうえで、適切な血中ビタミン、鉄濃度を保てるように頻回に血液検査を実施しております。患者様へのご負担は重々承知しておりますが、認知機能改善、もしくは認知機能低下進行抑制のためには血中濃度測定は必須であると考えております。そのほか、栄養指導などにも力を入れて取り組んでおります。

次回は、最近ダイエット関連の特集でも話題の糖質についてお話ししたいと思います。

今回も御一読頂き誠にありがとうございます。

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アルツハイマー病 真実と終焉 ソシム デール・ブレデゼン    

東洋経済オンライン2018年2月16日。5月11日

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リコード法の基本と尼崎療法の共通点

これまでネットニュースの話題からアルツハイマー病に対する最新の知見と、リコード法の基本的な概念をできるだけわかりやすくお伝えいたしました。

今回からはリコード法の基本と尼崎療法の共通点についてお話しします。 ですから、アルツハイマー病 真実と終焉 からの全くの抜粋ではなく、尼崎療法の観点や考え方が多分に含まれていることをご了承ください。

1、回復チャンス期間は長く、早ければより完璧な回復が期待できる

まずは、アルツハイマー病の早期発見、予防に力を入れることの重要性が共通点になります。

アルツハイマー病の進行の速さ等は当然人それぞれで大きく異なりますが、基本的には以下のような期間でアルツハイマー病が脳を冒していきます。

シナプス喪失や認知機能の低下の原因を特定し、是正するのが早いほど、本格的なアルツハイマー病や経度の認知機能障害でも発症を避ける可能性が高くなり、より有効な改善が期待できると当クリニックでは考えています。

・無症状で進行する期間:約10年

・主観的認知機能障害(SCI):約10年(物忘れが増えた等、頭の調子が良くない事を自覚)

・軽度認知機能障害(MCI):数年程度

アルツハイマー病になってから治療を始めるのと、無症状で進行する期間から開始するのでは約20年の差があります。この差がとても大きいと当クリニックでは考えています。その間に予防に取り組んだ方と そうでない方では当然、認知症発症までの期間や発症後の進行スピードに大変大きな差が出ると日々の診療で実感しております。

そのため、当院では早期発見に力を入れております。 最近テレビでもよく取り上げられるようになったMCIスクリーニングや、 ApoE遺伝子測定なども含めると計6種類の認知症早期発見のための血液検査ができるように対応しております。ただ、自費診療になりますので、詳しくは当クリニックにまでお気軽にお問い合わせください。

今回も御一読頂き誠にありがとうございます。

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東洋経済オンライン2018年2月16日。5月11日

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アルツハイマー病の兆候をいち早く発見するために

ブレデセン医師は、アルツハイマー病の兆候をいち早く発見するために、次に挙げる初期の症状は絶対に見過ごしてはならないと指摘する。

アルツハイマー病のごく初期の兆候

1.ニオイが分からない

2.物覚えが悪くなる

3.整理整頓、計画や計算ができない

アルツハイマー病では、記憶障害よりも先に、まずニオイが分からなくなる。その後「同じ事を質問する」「鍵を置いた場所が分からない」などの記憶障害が続く場合もあれば、「片付けられない」「計算できない」「いつもやっている仕事のやり方を忘れる」などの障害が起きる場合もある。

整理整頓や事務処理がこなせないといった症状から始まる場合には、毒素が原因である可能性が高い。自宅や職場にカビが生えていないか、また魚介類には水銀を多く含む種類もあるので、水銀の含有値が低いことで知られるサケ、サバ、アンチョビ、イワシ、ニシンなどを食べるよう心掛けたい。

ブレデセン医師によると、脳にとっては、炎症が持続したり、栄養が不足したり、毒素などが入り込んだりすることが脅威になるという。脅威に曝された脳は、アミロイドベータというタンパク質を作って対処し、自身の脳細胞も破壊してダウンサイジングしてしまう。

アルツハイマー病とはいわば、脳が自らを守る「防衛プログラム」の結果であり、この防衛プログラムにより投下されたアミロイドベータは、敵を殺すと同時に国土を焦土と化す「ナパーム弾」のようなものである。

ベトナム戦争で使用され、その殺傷力が注目されたナパーム弾は、ナフサという主燃料剤に増粘剤を添加し、ゼリー状にして充填した油脂焼夷弾である。ベタベタとした内容物はあらゆる面に接着して長時間きわめて高温で燃焼し、周囲を広範に焼き尽くすことが知られている。

「ナパーム弾」と化したアミロイドベータが脳を蝕み、やがてアルツハイマー病の発症に至るのだ。

脳神経ネットワークを破壊に導く

アミロイドベータは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の切断によって生成されるタンパク質であり、脳神経ネットワークを破壊に導く。一方で、APPが切断されると、脳に栄養を与えるタンパク質も生成される。

脳細胞を含め体全体の細胞は、生きていくために必要な情報をやり取りして、さまざまな活動を制御している。APPが脳を破壊する分子に切断されるか、脳を成育する分子に切断されるのかということも、細胞同士が伝えあう情報の中で、破壊と成育に関する情報の全体バランスによって決まる。ブレデセン医師ら研究グループがそれを解き明かした。

「このバランスを左右する要因が36もあるのです。若い時は、見事にいいバランスが維持されていますが、年齢とともにシナプスを破壊する方向に傾いていきます。このバランスを健康的に維持するためには、36の要因をすべて適正化しなくてはなりません」

アルツハイマー病の原因を特定したブレデセン医師は、「リコード法」と呼ばれる治療法を開発した。

「バランスを維持する36の要因すべてを良い方向にするために、食事、運動、睡眠、ストレス管理、薬、健脳サプリ、そして脳トレーニングなども加えた包括的な治療プログラムで、すでに500人以上の患者さんが回復しています」

さらにブレデセン医師は、少なくとも45歳を超えたら、リコード法で推奨されている各種認知機能検査を受け、自分の状態を知る必要があると提唱する。

ただ、仮に検査を受けて結果が正常であっても、油断してはいけない。毎年同じ時期に検査を受け、認知機能が少しでも下がってきたら病院へ行くのが望ましいという。

「認知機能の衰えはたいてい自分でも気づくものですが、大したことがないという言い訳をして、医師の診察を先延ばしにする人が多いものです。本格的なアルツハイマー病であるとわかるまで治療されず、『また来年来てください』と言われ続けたという話をよく聞きます。医師自身、アルツハイマー病はまだ治せないと思い込んでいることが多いのです」

アルツハイマー病は放置すれば静かに進行していく。

アルツハイマー病による記憶障害は通常、新しいことが覚えられないという症状から始まる。今まで生きるのに必要であった古い記憶よりも、それまで必要とされていなかった新しい記憶が先にカットされ、脳神経ネットワークを縮小しても生命が存続することが優先される。

病気が進行すると、やがて服を着る、歯を磨く、話すなどの基本的な動作の記憶も消えていく。そして、生命の維持に必要な機能まで失われていき、最後は死に至る。

「こんな悲劇は、予防について知識があり、早くからアルツハイマー病の兆候に気を付けてチェックを欠かさなければ、避けられることだということ多くの方に知っていただきたい」

以上が記事の抜粋になります。

予防の具体的な方法については、プレデセン医師の著作「 アルツハイマー病 真実と終焉」 から抜粋し、尼崎療法との共通点を次回にお話しさせていただきます。

今回も御一読頂き誠にありがとうございます。

参考 

現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄    

アルツハイマー病 真実と終焉 ソシム デール・ブレデゼン    

東洋経済オンライン2018年2月16日。5月11日

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