今だからこそ読んでほしい、認知症専門医がおススメする名著②  『アルツハイマー病 真実と終焉』

今回も、認知症専門医がおススメする、デール・ブレデセン氏の著書、『アルツハイマー病 真実と終焉』(ソシム、監修者:白澤卓二氏・訳者:山口茜氏)。その中から一部を抜粋してご紹介いたします。

何度か当ブログでもエッセンスをお伝えしていましたが、この機会に、一度拝読頂ければ幸甚です。少しでも見やすく、理解しやすいように時折箸休め的な挿絵を入れております。原著にはない挿絵なのでご注意ください。

1995年の発見以来、新薬は1剤も開発されていない

映画『アリスのままで』は2014年に公開されたが、その哀れな主人公の言語学教授は、アルツハイマー病を中年までに発症するという、1995年に発見されたDNA変異の持ち主であった。

おそらくみなさんは、がん生物学者が腫瘍に関わる遺伝子を発見し、それを基に新薬が作られて、治療が一気に進歩した話を読んだことがあると思う。

では、アルツハイマー病はどうかというと、1995年の発見以来、ただの1剤も新薬が開発されていないのだ。

この恐ろしい病気は、さらにもうひとつの理由で際立っている。

ここ50年で、分子生物学ならびに神経科学分野は、勝利に次ぐ勝利を重ねてきた。

生物学者はがんにつながる非常に複雑な経路を解き明かし、結果、がん発症の阻害方法が多数考案された。

また私たちは、脳の思考と感覚の根底にある科学的、電気的プロセスの緻密な地図を創り、完璧と言えないまでも、うつ病、統合失調症、不安症、双極性障害に効果のある薬を開発した。

確かにまだ解明すべきことはたくさんあり、米国薬局方[国や地域で流通している医薬品の品質規格25認知症を食い止める第1章の基準]に収載された薬にはまだ多くの改良が必要だ。

けれども、アルツハイマー病以外の他の病気においては、研究が事実上正しい軌道に乗り、病気の基礎を理解していると感じられた。つまり、「自然はこちらに変化球を投げ続けてくるものの、試合の基本ルールは明らかにしてくれている」という強い感覚がある。

効果的な治療法だと示された「アミロイド仮説」

だが、アルツハイマー病はそうはいかなかった。

この病気では、「自然に手渡されたルールブックはまるで、消えるインクで書かれ、さらにこちらが目を離すと、邪悪なグレムリンが編集しルールをほぼ書き直してしまうかのよう」だった。

具体例を挙げよう。齧歯動物の研究で得られた、一見すると盤石なエビデンスによると、アルツハイマー病は、シナプス[ニューロンとニューロンの接合部分]を破壊する粘着性のプラーク[身体の一部または臓器の組織に見られる異常な小斑点。アルツハイマー病では、アミロイド斑と呼ばれる]が脳に蓄積したために起きると考えられた。プラークは、「アミロイドβ(ベータ)」と呼ばれるタンパク質のかけらでできている。

そして研究によって、アミロイドβが一連のステップを踏んで形成されること、またこのステップを阻害するか、アミロイド斑(わかりやすくするため、以後、「アミロイドβ」を単に「アミロイド」と記す)を破壊することが、アルツハイマー病の効果的な治療法であり、予防法であると示された。

1980年代以来、神経生物学者の多くは、「アミロイド仮説」と呼ばれる、この基本概念を定説としていた。定説の提唱者は数百万ドルの賞金を獲得し、数えきれない賞賛を浴びて、大学では名誉ある地位に就いた。

またアルツハイマー病の論文が一流の医学雑誌に発表される際には、とてつもない影響力があった(ヒント:アミロイド路線を踏襲した論文が優先された)。米国国立衛生研究所という、米国の生物医学研究では最高の支援源からの助成金が行く先も、同じだった。

しかし事実はというと、製薬企業が行った候補薬物の試験では、たとえほんのわずかでもアミロイド仮説を基礎とした場合、結果は、苛立たしいものから途方に暮れるものまで、惨憺たるものだった。臨床試験では、ヒトの脳はこうした候補薬物に対し、ルールブックどおりの反応を示さなかったのだ。

候補薬物がデザインどおりに作用しなかった可能性は考えられるが、実際にはそうではなく、素晴らしい作用を発揮してアミロイド斑を除去した化合物(通常はアミロイドに結合して除去する抗体)が多かった。候補薬物は、みなアミロイド仮説のルールブックを遵守し、開発者の意図通りに作用した。アミロイドの産生に必要な酵素を阻害するようデザインされていれば、見事にその役目を果たした。

にもかかわらず、患者は改善しないか、信じがたいことに悪化するかのいずれかであった。

こうした臨床試験からは(ちなみに試験は5000万ドル規模のものがほとんどだった)、試験管内の研究、マウスの動物モデル研究、そして理論も含めすべてにおいて、アミロイド仮説に基づく予想とは「真逆の結果」が浮上し続けた。アミロイドの標的化は、アルツハイマー病を治癒するゴールデン・チケットのはずだと考えられていたが、事実はそうではなかったのだ。

まるで、自分たちの宇宙ロケットが毎回発射台で爆発したようだった。

何かが途方もなくおかしい。

盲目的にアミロイド仮説を信奉するのと同様の悲劇は、医学界の主流が、アルツハイマー病を単一疾患だと決めつけていることだ。そういった訳で、通常はドネペジル[日本名:アリセプト]とメマンチン[日本名:メマリー]の併用、またはいずれか1剤で治療されている。

アルツハイマー病の悪化を止める方法は見つからない

前述したが、ここで再び、現在アルツハイマー病には治療法がないということについて説明したい。

まずアリセプトは、コリンエステラーゼ阻害薬(アルツハイマー病に処方されるその他のコリンエステラーゼ阻害薬は、リバスチグミン(イクセロン、リバスタッチ)、ガランタミン(レミニール)。このほか、ヒューペルジン(フペルジン)Aが栄養補助食品として販売されている)と呼ばれる薬で、特定の酵素(コリンエステラーゼ)がアセチルコリン(神経伝達物質と呼ばれる脳内化学物質の一種)を分解しないように作用する。

神経伝達物質は、ニューロンからニューロンへとシグナルを運んでおり、そのシグナルによってヒトは考え、思い出し、感じ、動く。だから神経伝達物質は記憶と脳機能全般に重要である。

原理は単純だ。アルツハイマー病では、神経伝達物質であるアセチルコリンが減少する。したがって、その分解酵素(コリンエステラーゼ)を阻害すれば、シナプスのアセチルコリン残量が増えるのだ。その結果、たとえアルツハイマー病が脳を破壊しても、シナプスは少々長く機能していられる可能性がある。

しかし、ある程度までならこの原理は機能するが、重大な注意点がある。

第1に、アセチルコリンの分解を阻害しても、アルツハイマー病の原因や進行そのものには影響がない。

第2に、コリンエステラーゼが阻害されると、ご推察のとおり、脳はさらにコリンエステラーゼを産生する。これで明らかにこの薬の効果が制限される(そして、突然薬を中止すると深刻な問題になる可能性がある)。

第3に、他の薬と同様、コリンエステラーゼ阻害薬にも副作用がある。下痢、嘔気嘔吐、頭痛、関節痛、眠気、食欲喪失、徐脈(心拍低下)などだ。

もう1剤のメマンチンという薬も、アルツハイマー病の基礎的な病態生理学にほぼ関係のない脳内化学物質や分子に作用するのだが、アリセプトのように、少なくともしばらくの間は症状を軽減する(あるいは遅らせる)可能性がある。通常は病気の後半になって使われ、コリンエステラーゼ阻害薬と併用されることもある。

メマンチンは、脳内シグナルがニューロンから次のニューロンへと、「グルタミン酸塩」という神経伝達物質を介して伝わることを阻害する。この伝達が妨げられると、グルタミン酸の興奮性神経毒性効果と呼ばれるもの(ニューロン活性化に関連した有毒作用)が減少する。しかし残念ながら、メマンチンは、記憶の形成に非常に重要な神経伝達も、阻害する可能性があり、使用当初は認知機能が減弱することがある。

最も重要なのは、コリンエステラーゼ阻害薬もメマンチンも、アルツハイマー病の根本原因を標的とするものではないということだ。

よって、病気の悪化を止めることもなければ、当然、治りもしない

今回抜粋した治療薬については、以前も当ブログでもとりあげ、

この本よりも最新情報をお話しております。

機会があれば見て頂ければ大変うれしい限りです。

今回も御一読いただき誠にありがとうございました。

文献1)デール・ブレデセン『アルツハイマー病 真実と終焉』

(ソシム、監修者:白澤卓二氏・訳者:山口茜氏)

2)大熊 輝雄:現代臨床精神医学第12版 金原出版株式会社

3)幻冬舎 GOLD ONLINE 新刊書籍を試し読み

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今だからこそ読んでほしい、認知症専門医がおススメする名著①

新型コロナウィルスの感染拡大に御協力頂いている皆様。

誠にありがとうございます。皆様は、お家で過ごすことは、

何気ない日常ではなく、感染拡大防止への多大な貢献をしていると思って頂ければと思います。大変な努力を頂いている皆様に、医療従事者として厚く御礼申し上げたいと思います。

そんな、ご家庭にいる時間を皆様はいかがお過ごしでしょうか?この際に、精神疾患や、認知症に関わる名著を読んでいただければ幸甚です。まずお勧めできるのは、当ブログでも何度か取り上げましていまだに質問の多い、デール・ブレデセン氏の著書、『アルツハイマー病 真実と終焉』(ソシム、監修者:白澤卓二氏・訳者:山口茜氏)。その中から一部を抜粋してご紹介いたします。少しでも見やすく、理解しやすいように時折箸休め的な挿絵を入れております。原著にはない挿絵なのでご注意ください。

まずは、著者の紹介から。

MPI Cognition 最高医療責任者

アルツハイマー病などの神経変性疾患の世界的権威。カリフォルニア工科大学を卒業後、デューク大学メディカルセンターでMDを取得。カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)で神経学のチーフ・レジデントを務めた後、ノーベル賞受賞者のスタンリー・B・プルシナー博士に師事し、プリオンとアルツハイマー病の関連性について多くの研究を行う。
UCSF、UCLA、カリフォルニア大学サンディエゴ校で教職を歴任。バーナム研究所にて高齢化プログラムを指導後、1998年、加齢専門研究所であるBuck Instituteの創業時社長兼最高経営責任者(CEO)に迎えられる。現在数百人の医師に「リコード法」の教育・普及を行うMPI Cognitionを創立、最高医療責任者を務める。

米国アルツハイマー協会の「厳しい見解」

「アルツハイマー病」というぞっとする響きからは、誰も逃れられない。

不治の病で治療はほぼ不可能、確実な予防法もない。

この数十年、世界一と言われた神経科学者たちが、この病に打ちのめされてきた。

政府機関や製薬企業、バイオテクノロジーの専門家たちにより、この治療薬の開発と試験には莫大な費用がつぎ込まれた。しかし、99.6%は見るも無残に失敗し、試験段階を終えることすらなかった。

市場に出た0.4%の薬に期待して、「結局、効果がある薬が1剤あればいいじゃないか」と思った人は、もう一度考えてほしい。

なぜなら米国アルツハイマー病協会の見解は、『本当に新薬と言えるアルツハイマー病治療薬は2003年以来、承認されておらず、現在承認されているアルツハイマー病治療薬には、病気の進行を止めたり、遅らせる効果はない』であり、今日使用できるアルツハイマー病治療薬4剤については『物忘れや混乱症状は軽減されるかもしれないが、その効果は期間限定的』だという厳しいものだからだ。

米国食品医薬品局[FDA:保健福祉省に属する米国の政府機関。食品添加物の検査や取り締まり、医薬品の認可などを行う]が、アルツハイマー病の新薬を最後に承認した際の記事を覚えているだろうか。そこには、「2000年から2010年にアルツハイマー病治療薬として、244剤の試験が行われ、唯一、メマンチンだけが2003年に承認された」とある。後述するが、その効果はせいぜい穏やかなものでしかない。

実に恐ろしい病だ。アルツハイマー病とだけは診断されたくないとみな思って当然だろう。

アルツハイマー病の妻と、長く意思疎通できないでいる男性は、首を横に振り、落胆して言った。「治療薬を開発中で、病気の悪化を遅らせることができるだろうと繰り返し聞きますが、そんなことどうしてやる人がいるんですかね。毎日アルツハイマー病を抱えて生きるなんて、はっきり言って、最悪ですよ」

この20年、他の医学療域は驚異的な進歩が見られたが

アルツハイマー病は世相の一部となった。ニュース記事、ブログ、ポッドキャスト、ラジオやテレビ、ドキュメント映画にフィクション映画。不幸なことに、次々と見聞きするアルツハイマー病の話は、みな悲劇に終わる。

アルツハイマー病の恐怖は、他の病気への恐怖とはまったく違う。これには少なくとも2つの理由がある。

第一に、米国人の一般的な死因の上位10位中、アルツハイマー病には唯一、繰り返すがただひとつだけ、効果的な治療法が存在しない。しかもこの「効果的な」という表現はハードルをかなり下げたものだ。薬や治療介入でアルツハイマー病患者が少しでも改善したら、治癒するかどうかなどおかまいなしで、私は誰かれかまわず、触れ回るだろう。愛する人がアルツハイマー病の人、アルツハイマー病リスクがある人、そしてもちろん、すでにアルツハイマー病にかかっている人はみなそうだ。

しかしそんな薬は存在しない。主観的認知機能障害[SCI:認知機能の低下を本人が自覚しているが、客観的には認知機能の低下が認められない状態]や軽度認知機能障害[MCI:23認知症を食い止める本人および第三者から認知機能の低下に関する訴えがあるが認知症の診断基準を満たさず、基本的な日常生活は保たれている状態。複雑な日常生活機能の障害は軽度にとどまる]の患者が、本格的なアルツハイマー病を発症しないようにする治療すらないのだ。

この20年、がんやHIV/エイズ、嚢胞性線維症、心血管疾患を考えると、他の医学領域では、信じられないほど驚異的な進歩が見られた。しかしアルツハイマー病は、2017年現在の執筆時点でも治癒できないばかりか、確実に予防し進行を遅らせる方法すらない。

ご承知のとおり、天使のような子どもたちや、聖人のような父母たちが勇敢にがんと闘う午後のテレビ特集や伝記映画は、「最新の特効薬のおかげで、どうせエンドロール前に完璧に健康を回復するのだろう」と、批評家たちに物笑いの種にされる(確かに感傷的だ)。

だが、アルツハイマー病に関わる人間なら、この病気が完治するというハッピーエンドが描かれれば、たとえあまり現実味がなくても、喜んで感傷に浸るだろう。

アルツハイマー病がこれほど恐れられる第二の理由は、単なる「命取り」では終わらないためだ。致命的な病気はたくさんある(古くさい冗談では、人生こそ命取りだが)。アルツハイマー病は命取りよりたちが悪い。死神が扉を開けるまで、何年も(ときには何十年にもわたって)犠牲者の人間らしさを奪い、家族を脅かす。記憶、考える力、自立した生活を満足に送る能力―すべてが失われた患者は、精神の奈落へと、容赦なくつき落とされていく。

もはや愛する人のことも、自分の過去も、この世界のことも、自身もわからなくなるのだ。

次回も引き続き、『アルツハイマー病 真実と終焉』から

抜粋してお話ししたいと思います。

今回も御一読いただき誠にありがとうございました。

文献1)デール・ブレデセン『アルツハイマー病 真実と終焉』

(ソシム、監修者:白澤卓二氏・訳者:山口茜氏)

2)大熊 輝雄:現代臨床精神医学第12版 金原出版株式会社

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WHOの認知症予防ガイドライン、ビタミン療法の位置づけとは?

今回も前回に引き続き、WHOが初めて公開した認知症予防ガイドラインについてお話ししたいとおもいます。

ビタミンBE、多価不飽和脂肪酸、マルチビタミンのサプリメントは、認知症予防の観点からは推奨されない
(推奨グレード:強)
過度のアルコール摂取を習慣としている人には、認知症予防の観点から、飲酒量を減らすか断酒が勧められる
(推奨グレード:条件付き)
社会的な交流と支援は人生を通じて健康や幸福に強く関連している。生活において社会的な関わりは必要だ

 認知症のよる社会的・経済的な損失は大きく、治療ケアの不足は世界中で課題になっている。一方で、認知症の危険因子を減らすために取り組めることは多い。WHOは各国に認知症対策の政策を立ち上げることを求めている。

以上のように、ガイドラインではビタミン療法は推奨されていませんでした。ただ、捕足したいのは、まず、ガイドラインでは高いお金をかけて予防することはないという内容であったことです。当院は保険診療内で、ビタミン療法をしております。また、WHOの検討になかった、ビタミンBと鉄剤を当クリニックでの研究結果に沿って組み合わせています。

また、定期的に血液検査をすることにより、比較的安価で安全に施行できますので、ご安心ください。

頭部MRIや脳血流SPECTなどの画像検査や、血液検査、心理検査と組み合わせてビタミン、鉄剤の補充療法をさせていただきますので、ただ、予防的にサプリメントを飲むのとは効果が違う可能性が高いことをここでお伝えしたいと思います。

今回も御一読いただき誠にありがとうございました。

文献1)2019年5月30日 生活習慣改善協会 

2)大熊 輝雄:現代臨床精神医学第12版 金原出版株式会社

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WHOの推奨する生活習慣とは?

今回も前回に引き続き、WHOが初めて公開した認知症予防ガイドラインについてお話ししたいとおもいます。

肥満や過体重のある人では、介入して適正な体重にコントロールするで、認知症のリスクを低下できる可能性がある
(推奨グレード:条件付き)
肥満の人には、栄養バランスの良い食事で、体重を減らすことが勧められる。「グリセミック指数」(GI)は、ブドウ糖を摂取した後の血糖上昇率を100として、それを基準に、同量摂取したときの食品ごとの血糖上昇率をパーセントで表した指標。GIの低い食品は体重コントロールに有用という報告がある。
ウォーキングなどの運動を毎日の生活に取り入れ、座ったままの時間を減らすことも勧められる。
高血圧のある人は、WHOのガイドラインに従い適切な治療を受けるべき
(推奨グレード:強)
高血圧を放置していることが認知症の原因になることが、研究で明らかになっている。高血圧は、健康的な食事、適正体重の維持、運動を十分に行うなど、生活習慣を改善することで予防・改善が可能だ。降圧薬による治療を受けることで血圧をコントロールできるので、治療を受けることが重要。
糖尿病のある人は、適切な治療を受け生活スタイルを改善するべき
(推奨グレード:強)
詳しいメカニズムはまだ分かっていないが、糖尿病の人が血糖コントロールを適切に行わないでいると、認知症のリスクが上昇するという報告ある。血糖コントロールの不良は、認知機能の低下と関連がある。糖尿病腎症、網膜症、聴覚障害、心血管疾患といった合併症は、認知症のリスクを上昇させる。
血糖コントロールを改善し、高コレステロールと高血圧を治療すれば、認知症のリスクが低下する可能性がある。
喫煙は身体の健康を害するだけでなく、認知症と認知機能低下のリスクにもなる。たばこを吸う人は禁煙が勧められる
(推奨グレード:強)

肥満、高血圧症、糖尿病という生活習慣病の改善と、禁煙が

重要という事でした。当クリニックでも以前からこの観点から、

定期的に血液検査をした上で、栄養士指導、生活指導に重点を置いて、治療しております。全国に数ある認知症専門外来の中でもかなり内科疾患や生活指導が充実していると考えています。

今月からは血管年齢測定もしておりますので希望のある方は

お気軽にお声掛けください

今回も御一読いただき誠にありがとうございました。

文献1)2019年5月30日 生活習慣改善協会 

2)大熊 輝雄:現代臨床精神医学第12版 金原出版株式会社

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認知症予防にはなにをすればよいですか?<専門外来質問第二位>

今回は認知症予防についての最新のエビデンスをお伝えしたいと思います。当クリニック認知症専門外来の質問、第二位になります。2019年に世界保健機関(WHO)は認知症と認知機能を予防するための具体的な介入方法をまとめた初のガイドラインの公開を開始した。
 認知症リスクは生活習慣改善により減らせるとして、WHOは各国に対応を求めている。

 新しいガイドラインによると、運動の習慣化、禁煙、アルコール摂取の抑制、健康的な食事、血圧・コレステロール・血糖値のコントロールにより、認知症の発症リスクを減らすことができる。身体にとって良いことは脳にとっても良いことが示されている。

「今後30年間で、世界の認知症の有病者数は3倍に増加すると予測されています。認知症のリスクを減らすために、できることを今すぐ実行すべきです」と、WHO局長のテドロス アダノム氏は言う。

 認知症は、アルツハイマー病や脳卒中など、脳に影響を与えるさまざまな病気や傷害から生じ、記憶、思考、行動、理解、計算、学習能力、言語活動、判断に影響を与える。

 認知症は、世界中で5,000万人が罹患しており、毎年約1,000万例が新たに発症している。認知症を発症し、脳がダメージを受けてしまうと、元の状態に戻すのは多くの場合で困難だ。

 患者だけでなく社会が負う経済的負担も大きく、認知症による社会的費用の損失は2030年までに年間220兆円に膨れ上がると予想されている。公衆衛生上の問題として急速に拡大している。

食事と運動を改善すれば認知症リスクは減らせる

 WHOが公開している「認知症と認知機能低下のリスクを減らすためのWHOガイドライン」の主な内容は以下の通り――。

運動・身体活動には認知機能低下を予防する効果がある
(推奨グレード:強)
65歳以上の成人は、週に合計150分以上の中強度の有酸素運動をするか、週に合計75分以上の強度の高い活発な運動をするべき。有酸素運動は10分以上続けて行う必要がある。
栄養バランスの良い健康的な食事はすべての成人に勧められる
(推奨グレード:条件付き)
野菜や果物、雑穀や玄米などの全粒穀類、マメ類、ナッツ類を十分に食べ、野菜と果物は1日に400g以上を食べることが推奨される。
1日に2,000kcalを摂取している人では、糖類の摂取を5%未満に、脂肪の摂取を30%未満に抑える。脂肪の多い牛や豚などの動物性食品を抑え、食塩の摂取量を1日5g未満にするのが理想的。

ということで、まずは、運動と食事の習慣改善が重要ということでした。次回はさらに細かい生活習慣についてお話ししていきたいと思います。

今回も御一読いただき誠にありがとうございました。

文献1)2019年5月30日 生活習慣改善協会 

2)大熊 輝雄:現代臨床精神医学第12版 金原出版株式会社

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納豆やみそは特に循環器疾患と関連がある?

前回の続きで今回も、納豆やみその発酵食品が死亡率低下に関連しているという研究成果をお伝えしたいと思います。

国立がん研究センターなどの多目的コホート(JPHC)研究グループの研究で発表されたものです。詳細は前回のブログをご参照ください。

死亡原因との関連を見ると、がん死亡リスクに関しては男性、女性ともに大豆製品摂取量と有意な関連が見られなかった。その一方で循環器疾患死亡との関連は、男性において、発酵性大豆食品(納豆とみそ)の摂取量および納豆の摂取量、女性においては納豆の摂取量と有意な関連が認められた。

 具体的には、男性において発酵性大豆食品の摂取量が最も少ない第1五分位群(13.4g/日未満)に比べ、摂取量が最も多い第5五分位群(50.2g/日以上)の循環器疾患死亡のハザード比は0.82で18%リスクが低かった。同様に、納豆を摂取しない群に比べ、摂取量が最も多い群(26.2g/日以上)のハザード比は0.76で24%リスクが低かった。女性では、納豆を摂取しない群に比べ、摂取量が最も多い群のハザード比は0.79だった。

 総大豆食品摂取量は死亡リスクとの関連が見られず、発酵性大豆食品の摂取量との関連は有意という結果について、研究グループでは「発酵性大豆食品は加工の過程で、大豆に含まれている成分の消失が少ないことが理由の1つではないか」と考察している。

という事で大豆の成分が循環器系の疾患の予防によいということでした。以前このブログで、睡眠時無呼吸症候群の治療は循環器系疾患予防に重要というお話しをしました。

併せて覚えて頂ければ幸いです。

今年に入ってから立て続けに、長芋は認知症予防によい、納豆とみそは死亡率低下によいという研究成果が出たのでお伝えしました。

次回は、認知症専門外来の質問第二位

認知症予防のためには、なにをしたらいいですか?

について最新の研究成果からお話ししたいと思います

今回も御一読いただき誠にありがとうございました。

文献1)2020年2月9日 ダイヤモンドオンライン ヘルスデイニュース

2)大熊 輝雄:現代臨床精神医学第12版 金原出版株式会社

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納豆やみそを多く食べる人ほど死亡率が低い?

今回は長生きに関連する食べ物が、国立がん研究センターなどの多目的コホート(JPHC)研究グループの研究で発表されたのでお伝えしたいと思います。今世界中でも話題の発酵食品です。

ダイヤモンドオンライン ヘルスデイニュース 2020年2月9日の記事からお伝えします。

納豆やみその摂取量と死亡率が逆相関――JPHC研究

 発酵性大豆食品を多く食べる人ほど死亡率が低いというデータが報告された。ただし、非発酵性の大豆食品も含めた解析では、関連が有意でないという。国立がん研究センターなどの多目的コホート(JPHC)研究グループの研究によるもので、詳細は「BMJ」1月29日オンライン版に掲載された。

 今回の研究の対象は、1990年と1993年に全国11カ所の保健所管轄区域に住んでいた40~69歳の成人のうち、がんや循環器疾患の既往がない9万2915人(うち男性4万2750人)。大豆製品の摂取量で全体を五分位に分け、2012年まで平均14.8年間追跡した。

 研究開始から5年後に行った食事調査アンケートの回答から、総大豆食品、発酵性大豆食品(納豆とみそ)、非発酵性大豆食品、および豆腐の摂取量を計算し、総死亡(全死因による死亡)、がん死亡、循環器疾患死亡などとの関連を性別に検討した。解析に際しては、年齢、地域、肥満度、喫煙・飲酒・身体活動習慣、糖尿病・高血圧、健診受診状況、女性の月経の有無・ホルモン剤の使用、食品摂取状況、総エネルギー摂取量を統計的に調整し、影響を取り除いた。

という事で、発酵していない大豆食品である豆腐では差がなく、発酵食品である納豆とみそ、特に納豆で差が出たとの結果でした。次回は、さらに、どんな病気、死因と関連したのかについてお伝えしたいとおもいます。

今回も御一読いただき誠にありがとうございました。

文献1)2020年2月9日 ダイヤモンドオンライン ヘルスデイニュース

2)大熊 輝雄:現代臨床精神医学第12版 金原出版株式会社

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認知症予防に効果がある食べ物は?<専門外来質問第一位>

長年認知症専門外来に携わらせて頂いて、おそらく一番多く受けた質問、第一位が

認知症予防に効果がある食べ物は?」

だと思います。第二位が、「認知症予防のためにはなにをしたらいいですか?」でしょうか。今回は食べ物について最新の研究成果をお伝えできたらと思います。

林修の今でしょ!講座2020年2月18日放送で、長いも博士が伝えたい「長いも3大パワー」が紹介されました。
教えてくれたのは、タムラ薬局 代表薬剤師 田村哲彦先生です。

長いもの成分ジオスゲニンは認知症対策に期待ができるという。認知症は発症するまでの間に脳内にアミロイドβという成分がたまっていく。ジオスゲニンはアミロイドβを取り除いてくれるという実績がでてきてる。マウスを使った実験ではアミロイドβが約50%減少したという研究結果があるという。さらにジオスゲニンは脳の認知機能を正常に戻す働きもしてくれるという。ことでした。また他にも長いもの研究成果を教えてくれました。

長いもを食べると腸が元気になって免疫力がUPするという。腸には免疫細胞の約70%が集中している。腸は第二の脳と呼ばれ独立して免疫を司っている。腸が働かないとウイルスがきたときに防御することができなくなる。長いもには善玉菌を増やすレジスタントスターチが含まれている。レジスタントは消化されないと言う意味。スターチーはデンプンと言う意味。デンプンは普通消化されエネルギーに変わる。デンプンが消化されないので善玉菌の餌になり増えてくれる。善玉菌を増やすと、肥満の予防、インフルエンザの予防、血糖値の上昇を防ぐといった効果がある。100gたべるといいとのことでした。

また、今アメリカでものすごい勢いでインフルエンザが流行しているのですが、(1000万人以上が罹患といわれていますが)
長いものスーパー成分がインフルエンザウイルスを撃退してくれるといいます。長いもにはディオスコリンAという山芋ルイのタンパク質が入ってる。ディオスコリンAは体内に入ったウイルスと接触すると約1分で体内のウイルスを破壊してくれるという。1週間に3回以上長芋を食べるとインフルエンザの発症率が44%も減った。
今まで、このブログでも認知症予防に効果が期待できる食べ物として

地中海料理、オリーブオイル、シークワーサーなどをお伝えしてきましたが、長芋も効果が期待できるようです。

次回は長生きに効果が期待できるという食べ物についてお話しできたらと思います。

今回も御一読いただき誠にありがとうございました。

文献1)2020年2月18日 林修の今でしょ!講座

2)大熊 輝雄:現代臨床精神医学第12版 金原出版株式会社

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認知症新薬 期待大だがクリアすべき問題点は?

今回も日本経済新聞の記事から認知症新薬についてお話しさせて頂きます。認知症新薬について期待も大きいのですが、クリアすべき問題点とは?

記事を掲載させて頂きますのでご一読ください。

米当局承認 20年で4勝146敗

4勝146敗――。米国研究製薬工業協会によると1998年から2017年まで米国で開発された認知症関連の治療薬で、実際に米食品医薬品局(FDA)の承認を得られたのはわずか4件にとどまる。アルツハイマー病の進行を抑える治療薬が誕生すれば患者や家族の生活を守る福音になるが、課題は残る。

病気を治療する一般的な新薬とは違い、アデュカヌマブは病気の進行を遅らせる効果を持つ。東京大学の岩坪威教授「FDA側としても(今回の承認審査は)未知の体験となるだろう」と指摘する。業界では「認められる確率は半々」との評価もある。

また、仮に承認されても薬価をどのように設定するかも大きな問題だ。今回の治験では体重1キログラムあたり10ミリグラムの用量を投与した患者に有効性があり、体重60キログラムの人であれば毎月の投与量は600ミリグラムとなる。バイオ医薬品になるため製造原価は高く、年間の薬剤費は2千万円以上になる可能性もある。

日本で保険適用されるにはハードルが高く、海外でも低所得者・高齢者向けの医療保険でまかなうのは難しい価格帯になる可能性が高い。

ただ、社会保障費の抑制は先進国の共通の課題だ。米国ではアルツハイマー病に年間1400億ドル(約15兆円)の医療費を投じているが、患者数の増加で50年には1兆ドルに増えると予想されている。アルツハイマーの発症を5年抑える新薬が登場すれば、患者数は4割減り、年間3670億ドルの医療費を削減できるという試算もある。

アデュカヌマブの今回の発表に刺激されて、他の製薬会社の開発が活発になる可能性もある。限りある社会保障費のなかで、新薬を受け入れる準備も必要になりそうだ。

アミロイドβという脳のゴミを減らすという、アルツハイマー型認知症においては、根本的な治療になりうる可能性を秘めていますが、一方で人間が年齢を重ね100歳を越えると9割近くが認知症になり、寿命の限界は現時点では110歳あたりという事も踏まえると、認知症の完全な治療は不可能で、進行のスピードを抑制するのが治療目的になると、考えられています。

そこは、認知症治療薬全般に言える他の分野の治療薬とは異なる問題点となっています。極論すれば、薬飲んで治療できないなら、飲まなくてもいいよ。進行遅らせるのにどこまで意味があるのか?ということでしょうか。ただ、認知症専門医として日々診療する立場からすると、遅らせる事の重要性はとても大きく、御本人様だけでなく家族様にとってもとても意義のあることと信じています。ですので、早くこの新薬が日本でも処方できることを心待ちにしています。

今回も御一読いただき誠にありがとうございました。

文献1)2019年12月9日 日本経済新聞

2)大熊 輝雄:現代臨床精神医学第12版 金原出版株式会社

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認知症新薬 期待されるその独自の効果とは?

今回も日本経済新聞の記事から認知症新薬についてお話しさせて頂きます。認知症新薬について期待される新たな効果とは、

記事を掲載させて頂きますのでご一読ください。

アデュカヌマブが注目されるのは、認知症そのものへの効果が期待できるからだ。これまでの認知症関連の治療薬にはエーザイが1997年に発売した「アリセプト」などがあるが、一時的に認知機能を改善する効果にとどまる。バイオジェンとエーザイは20年の初めにもFDAにアデュカヌマブの承認を申請する方針で、最短で21年にも認知機能の低下を抑える世界初の治療薬として発売できる可能性がある。

アルツハイマー病を中心とする認知症患者は15年時点で世界に4600万人、50年には1億5000万人まで増えると予想される。市場規模は大きく、アデュカヌマブは年間売り上げが1000億円を超える新薬「ブロックバスター」となる可能性がある。国内証券アナリストは「年間3000億~4000億円はいける。1兆円を超える潜在力もあるだろう」と評価する。

つまり今までの認知症治療薬は進行抑制の効果が期待できるものだったのに対し、認知症新薬は根本治療の可能性が示唆されています。それでかなりの期待が寄せられています。

本当に画期的な薬になる可能性を秘めています。

ただ、この認知症新薬にはまだクリアすべき問題点が多くあります。次回はその問題点についてお話させて頂きます。

今回も御一読いただき誠にありがとうございました。

文献1)2019年12月9日 日本経済新聞

2)大熊 輝雄:現代臨床精神医学第12版 金原出版株式会社

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