認知症予防の3つの柱 プラス TWO(食事編)

前回まで複数回にわたり、日本認知症予防学会の提唱する認知症予防3つの柱についてご説明し、それに基づいた当クリニックでのオリジナル療法をご紹介いたしました。 今回は、さらに当クリニックが提唱する、認知症予防に大事なふたつの柱をお話ししたいと思います。その「TWO」、2つとは、「食事」と「睡眠」です。

食事に関しましては、診察時に本当によく質問があります。

以前ブログでも リコード法としてご紹介しましたが、今のところ一番エビデンスがあるのが地中海料理です。地中海料理とは、ギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペインなど地中海沿岸の料理。オリーブオイルやナッツ類、野菜、果物をふんだんに使うのが特徴。BMJ(英医学誌、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)の発表によると地中海料理を食べていると、循環器疾患による死亡リスクは9%、がんの場合は6%、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の発症率も13%減少したという研究結果が出ています。

また、食事を含めた生活習慣病への取り組みは、40代から始めるのがよいとされています。野菜や果物、魚を中心に、豆類やオリーブオイルを取り入れ「日本式地中海料理」とでもいうべきメニューを工夫できるといいですね。 また、認知症予防に効果があるといわれるのは抗酸化作用がある「ポリフェノール」です。赤ワインが有名ですが、他にもいちご、ぶどう、大豆、紅茶などでも摂取できますので是非日々の生活に取り入れて頂ければと思います。

当クリニックでの取り組みとしましては 、初診時より生活習慣病に対しての薬物療法、生活指導 をさせていただいております。 今回も御一読頂き誠にありがとうございました。

参考 

現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄   

 British Medical Journal 2008.9.12 Francesco Sofi

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当クリニックでの認知症予防の取り組み 「俳句療法」と「暗記歩き」

前回は、ゴルフが認知症予防で注目されているお話をしました。 ただ、やはり自宅でできる認知症予防も非常に求められています。 それは、日本認知症予防学会 理事長 浦上教授は、短歌や俳句といった創作的な活動や普段使わない神経を刺激するために利き腕と違う手を使うこと、を提唱しています。

俳句といえば、近年TBS系列の番組「プレバト」テレビ番組から火が付いた「俳句ブーム」がありますので、俳句を以前より身近に感じることが多いのではないでしょうか。当クリニックでも、平成31年2月より当クリニックオリジナルの「認知症予防のための俳句療法」に取り組んでおります。以前にご説明した認知症予防の3つの柱である①知的活動である上に、➂家族でのコミュニケーションもとりやすいようにあらかじめしております。また、もちろん俳句を一度も作ったことがない方がほとんどでしょうから、季語などもきちんと取り入れられるよう一から指導させていただき、例えばコンクールなどに出品できるようなきちんとした俳句がどなたでも簡単に作れるよう 工夫しております。実際、最初は俳句といわれて戸惑う方もいらっしゃいますが、大勢の患者様から好評をいただき、また、名句も多数生まれております。

また、ご自分一人で取り組める認知症予防として、②運動療法をとりいれたものとしては、「コグニサイズ」として以前にご説明した、「デュアルタスク」(二つのことを同時にすることで脳を刺激する)であることが重要です。こちらに関しては平成31年6月以降に開始予定ですが、身近なものの名前を暗記しながら、散歩して頂く「暗記歩き」をご紹介していく予定にしております。この暗記歩きは、逆に大学受験で「歩きながら暗記」として近年ものすごい注目をあびて、大手予備校でも取り入れられています。暗記の内容としては、野菜や果物、お花名の名前など日常的な単語から、国名や歴史上の人物など色々ご用意しております。

また、銀行や病院に行ったときなどに普段字を書いていないから住所や名前を書くのが不安になるという御意見を多数いただきましたので、 書き取り練習も当クリニックのオリジナルの季節の教材を使い、指導しております。以前にブログでもご紹介した「キョウヨウとキョウイク」のキョウヨウに関しましては、御本人様の個性や興味、認知症・MCIの進行度、御家族様のご要望、など様々な観点を踏まえたうえで、治療につながるように、「MCIカラーリング」「俳句療法」「季節の書取り練習」「暗記歩き」複数のオリジナル療法が充実させてまいりました。キョウヨウ(今日用)に是非お役立ていただければと思います。 ご興味ある方は是非当クリニックまで気軽にご相談ください。 今回も御一読頂き誠にありがとうございます。

参考 

現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄

日本認知症予防学会 ホームページ

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認知症予防の3つの柱<全てを兼ね備えたお薦めスポーツ>

最近、認知症予防のための生活習慣が注目されており、当クリニックでもよく質問を受けます。「認知症治療よりまず認知症予防」、当クリニックが20年前より提唱しているテーマが浸透してきており大変うれしく思っております。今後も新しいエビデンスが出るたびにブログで紹介していきたいですが、今回は日本認知症予防学会の提唱する認知症予防3つの柱についてご説明し、それに付け加えた当クリニックでの取り組みについてお話しできたらと思います。

日本認知症予防学会の浦上克哉理事長(鳥取大学医学部教授)は、 認知症予防の3つの柱として「知的活動」「運動」「コミュニケーション」をあげています。

1、 知的活動

囲碁や将棋、編み物など頭を使って指先を動かすこと。また、楽器を演奏したり、絵をかいたりという芸術活動や農作業、料理も手先と頭を同時に使うので効果があります。また、様々なゲームが知的活動に含まれているといわれています。

2、 運動

「コグニサイズ」を推奨しています。「コグニション」(認知)と「エクササイズ」(運動)を組み合わせる。散歩をしながら計算するとか、頭を使いながら体を動かす、しりとりしながら歩くなどです。運動の内容としては、週に2-3回息が切れるくらいの強度の運動が良いとされています。

3、 コミュニケーション

これは人といないと難しいですが、人が集まるところに行く、もしくは家族と集まって会話する。例えばゲームなどをして、「素晴らしかったな」などといろんな会話が生まれ刺激になるといわれています。また、電話やインターネットを使った会話でもよいといわれています。特に離れて暮らすご家族様にとっては、一日一回電話で話すことが、いまワイドショーで話題の「アポ電詐欺」の予防にもつながり一石二鳥ではないでしょうか。

以上3点があげられています。

この3つを兼ね備えて、今注目されているお薦めのスポーツ、 それは、「ゴルフ」です。 次回に、詳しくご説明いたします。 今回も御一読頂き誠にありがとうございます。

参考 現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄

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日本人に多い認知症5疾患のまとめ<認知症予防のため知っておきたいキーワード>

前回認知症予防の日が昨年に制定されたお話をしました。今後数回にわたり、認知症予防についてお話していきたいのですが、まず、前提としてここで私がお話しするのは認知症の中でも「アルツハイマー型認知症」「脳血管型認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭葉型認知症」「アルコール性認知症」この5つの疾患について述べたいと思います。認知症全てにあてはまるわけではない、例えばクロイツフェルト・ヤコブ病など特定の頻度の低い疾患は個別に対処法がありますし、逆にアルツハイマー型認知症だけのことを述べているわけでもないことをご理解ください。もちろんこの短い文章ですべてを説明するのは無理なのですが、 最低限知っておいてほしいキーワードを並べています。参考にしていただければと思います。 この5つの疾患について説明いたします。

1、 アルツハイマー型認知症

脳にアミロイドβやタウと呼ばれる特殊なたんぱく質が溜まって神経細胞に影響を与え、認知機能に障害が起こると考えられている。 日本人の認知症の約半数かそれ以上といわれている。

危険因子 加齢(65歳以上で8人に1人、85歳以上で2人に1人)、女性、生活習慣病、甲状腺機能異常、頭部外傷の既往

2、 脳血管型認知症

脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血などの病気により脳の細胞に酸素や栄養がいかなくなることで障害が起きる。日本人では微小な脳梗塞、ラクナ梗塞が原因でおこる皮質下型脳血管型認知症が多いといわれている。

危険因子 加齢、男性、生活習慣病、喫煙、肥満

3、 レビー小体型認知症

大脳の皮質の神経細胞内に「レビー小体」と呼ばれるたんぱく質が溜まることによっておこる。1976年に小阪憲司医師(横浜市立大学名誉教授)によって発見されました。大きな特徴は、幻覚(幻視)がハッキリ現れる(約80%)、また体の硬直がはじまり動作全般が遅くなる、転倒のリスクが高い、パーキンソン病に似ている症状がみられます。

危険因子はまだわかっていませんが、初期に 嗅覚障害やレム睡眠行動障害(大きな寝言など)がみられるといわれています。

4、 前頭側頭葉型認知症(FTD)

脳の前頭葉と側頭葉が萎縮して血流低下することによって、脳の機能に障害が起こる。タウ蛋白やTDP-43という蛋白が関与がわかってきているが、まだ、解明されていないことが多い。 認知症の10人に1人、65歳以下に発症することが多い。 男女差はほとんどなく、家庭内で遺伝する傾向。 脳の中で、前頭葉は「人格、社会性、言語」を、側頭葉は「記憶、聴覚、言語」を主につかさどっています。 そのため、FTDを発症すると特徴的な症状が出ます。

A,社会性の欠如 万引きのような軽犯罪、身だしなみに無頓着

B,抑制が効かない 相手に対し暴力をふるうこともあります

C,常同行為 同じ道順、同じ動作をとりつづける

D,感情鈍麻 他人に共感できない、感情移入できない

E,自発性な言葉の低下 相手に言われたことをオウム返し

5、 アルコール性認知症

アルコールを多量に飲み続けたことで、脳血管障害やビタミンB1欠乏による栄養障害などから脳の機能に障害が起こる。    

危険因子 アルコール多飲、栄養不足    

アルコール適量の目安(厚生労働省 健康21)    ビール(アルコール度数5度 中瓶 1本 500ml)    日本酒(アルコール度数 15度 1合 180ml)    ウィスキー(アルコール度数43度 ダブル1杯 60ml)    ワイン(アルコール度数 14度 グラス2杯 180ml)    缶チューハイ(アルコール度数 5度 1.5缶 520ml)

以上が日本でよくみられる認知症です。アルツハイマー型認知症は最近よく耳にしますが、それ以外の疾患はまだあまりなじみがなく、別の認知症と鑑別が難しいものもあり、一様に扱われることが多いのが現状と思います。次回には、認知症予防について「詳しくかつ、わかりやすく」をモットーにお話しできたらと思います。 今回も御一読頂き誠にありがとうございます。

参考 現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄    厚生労働省 健康日本21 日本認知症予防学会 ホームページ

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知っていますか?認知症予防の日

今年4月1日に新元号が発表され、新しい時代が幕を開けようとしています。それに伴い多種多様な変化があると思います。しかしある意味一番影響が大きいのは天皇誕生日を含めた祝日の変更かもしれません。今年はゴールデンウィークも10連休になりますし、生活に大きな影響を与えそうです。この祝日に代表される記念日は近年増加傾向で、いまやほぼ毎日なにかの記念日と言っても過言ではありません。過言どころか、実際に一般社団法人 日本記念日協会のホームページを見ると毎日複数の記念日があり、「へーそうなんだ」と感心するばかりです。

例えば、このブログを作成している2019年3月28日でみると、 「三ツ矢の日、三ツ矢サイダーの日、八幡浜ちゃんぽんの日、グリーンツーリズムの日」とあります。言われてみれば、三ツ矢(328)サイダーの日ですよね。もっと有名になってもおかしくない「いい語呂合わせ」だと個人的には思います。八幡浜ちゃんぽんは、日本記念日協会によると愛媛県八幡浜市のソウルフードで、鶏がら・鰹・昆布などでダシを取った黄金色のスープで、あっさりとした風味が特徴。魚の町八幡浜らしく特産品のかまぼこ・じゃこ天などが具材として使われているめちゃめちゃ美味しそうな食べ物です。ちなみに私の実家の姫路のソウルフードは姫路おでん、ショウガ醤油で食べるおでんです。これもめちゃめちゃ美味しいです。機会があればぜひご賞味ください。

閑話休題、最後のグリーンツーリズムとは農山漁村地域での滞在型の余暇活動のことで大分県のNPO法人が定めている記念日とのことです。ちなみに、今年になって新しく登録された記念日には、口臭ケアの日(5月4日)、サトウ記念日(3月10日)焼肉開きの日(3月第四土曜日)IT断食の日(11月9日)などきになる記念日がいっぱいです。ちなみにサトウは砂糖ではなく、声優さんの名前でした。もし気になった方は是非日本記念日協会のホームページを見てください。自分の誕生日で調べると色々あってより感心することばかりです。ちなみに私の誕生日は16個も記念日がありました。

やっと本題に入りますが、認知症予防の日というものが2018年に設定されました。何月何日だと思いますか?といっても、当たる可能性がとても低い6月14日です。なぜかというと、認知症の大きな原因であるアルツハイマー病を発見したドイツの医学者・精神科医のアロイス・アルツハイマー博士の誕生日1864年6月14日にちなんでいるからです。これは、福岡県北九州市に事務局を置く日本認知症予防学会が制定しました。次回以降は、認知症についての知識を再度確認して頂いたうえで、この日本認知症学会の提唱する認知症予防についてのお話から、当クリニックでの認知症予防への取り組みなどを数回にわたってお話しできればと思っております。 今回も御一読頂き誠にありがとうございます。

参考 現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄    一般社団法人 日本記念日協会 ホームページ

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アドラー心理学と稲盛和夫先生の考え方の共通点

アドラー心理学に欠かせない価値観として「共同体感覚」という考え方があります。アドラー心理学を学ぶ者にとって少し理解しにくい部分になりますが、それは「人は共同体への所属感・貢献感で幸せを感じる」 というものです。そして、「より大きな共同体からとるべき行動を考える」 家族、地域、会社、国、人はいろんな共同体に属していますが、それぞれは対立するものではないはずで、より広い共同体から物事を見れば「自分の役割、責任」「相手の役割、責任」など視野が広がることで、悩みが解決することがあるというものです。抽象的で一見難しそうですが これは、稲盛先生のお言葉から考えますと理解しやすく、

「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること、この経営理念を実現する」

「JALの再建では「リーダーが私利私欲に走らず、利他の心で判断すること。要は人間として正しくあることを、経営でも考えなくてはいけませんよ。」と話すことから始めました。するとエリート幹部たちは、「なんでそんな当たり前のことを教わらなきゃならんの」という顔をする。それでも私は、「知ってはいるでしょうが、自分のみについてはいないでしょう。」と懲りずに何回も話し続けました。本当に納得してもらうまでに、50回くらい塙失したと思います。」

「アメーバ経営。組織をアメーバと呼ぶ小集団に分けます。各アメーバのリーダーは、それぞれが中心となって自らのアメーバの計画を立て、メンバー全員が知恵を絞り、努力することで、アメーバの目標を達成していきます。そうすることで、現場のひとりひとりが主役となり、自主的に経営に参加する「全員参加経営」を実現しています。

「つねに前向きで建設的であること。感謝の心を持ちみんなと一緒に歩もうという協調性を有していること、明るく肯定的であること。善意に満ち、思いやりがあり、優しい心を持っていること。努力を惜しまないこと。足るを知り、利己的でなく、強欲ではないことなどです。」

以上、本当に少しだけですが、稲盛先生のお言葉を紹介させていただきました。アドラー心理学で取り上げた問題点、対人関係での悩みを、アドラーは勇気ということばで自分と周りを巻き込んで前向きに考えることで解決しようとし、その目標は共同体への貢献により幸福感を味わう事でした。それを自ら禅の教えと感謝の心、利他の精神をもって、実践し、周りに大きく影響を与え、社会に大きな貢献を果たされたのが稲盛先生であったように愚考しております。このように、日本人には馴染みがあってかつ、異文化交流が進む、オリンピック、万博前の日本に重要な考え方の指標であるアドラー心理学、を御紹介させて頂きました。 今後も、話題になった精神科関連、心理学関連をとりあげ、現代の社会問題と融合してご紹介できたらなと考えております。

参考 現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄   

 「Der Sinn des Lebens(生きる意味)」 アルフレッド・アドラー 

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え ダイヤモンド社 岸見 一郎

勇気の心理学 Discover 永藤 かおる

生き方 人間として一番大切なこと サンマーク出版 稲盛和夫

京セラフィロソフィ サンマーク出版 稲盛和夫

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アドラー心理学 ~勇気があれば勇気づけできる~

前回、課題を解決するキーワードが「勇気」であるとお伝えしました。 アドラー心理学では「勇気=困難を克服する活力」であり、 「勇気がある人は、自己受容している」と表現しています。 活力には

① 身体的な強み

② 知的な活力

③ 感情的な持久力

④ 創造的なイメージ

などが挙げられています。

「自己受容=根拠をもとに自分を肯定的に味方につける態度・能力」 で、自己受容していると自然に他者も認め、他者と協力的な態度になり対人関係が良好になる。「Im OK. You are OK.」の精神と訳されたりします。 また、勇気は蛮勇とは違うと訳されます。意味は、勇気とは無理な挑戦、無茶な行動を求めない、乱暴な行為は勇気ではない。という事です。 そして、勇気の三要素として、

① 不確定な部分があるチャレンジを引き受ける覚悟

② 立ち向かえば克服できる課題と捉え努力する覚悟

③ 目標達成に向かい協力する覚悟

があると、アドラー心理学では考えられています。 そして、「勇気がある人は人に勇気づけができる」 「勇気がない人は人を勇気くじきする」 良好な信頼関係を築いていくには、上から目線の「ほめる」より共感の「勇気づける」がよいとされています。そのうえで、人生を楽しんでいる人は、みな自分や周囲を勇気づけることが得意であるとアドラー心理学では提唱しています。 この勇気、勇気づけ、勇気くじきの考え方は、実はひも解いてみると、日本人でも提唱される方が多いと考えています。 まず私の中で思い出されるのが、私も敬愛する京セラ・KDDI・日本航空でご活躍された経営者 稲盛和夫 先生です。 その経営哲学は、独特で「生き方」などの名著も多数ありますが、それらの著作の中から次回のこのブログでいくつか名言をご紹介したいと思います。

参考 現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄  

  「Der Sinn des Lebens(生きる意味)」 アルフレッド・アドラー 

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え ダイヤモンド社 岸見 一郎

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アドラー心理学 III~劣等感は成長のエネルギー~

今回はまず劣等感についてです。劣等感には、 「持って良い劣等感」と「悪い劣等感」があるとアドラー心理学では考えます。そのうえで、「劣等感を味方につければ自分を成長させるきっかけになる」としています。ただ、劣等感をこじらせると肝心な時に課題にきちんと向き合えず、逃げてしまい、さらに落ち込み負のスパイラルにはいってしまう恐れもあります。つまり、「劣等感は付き合い方次第でできるだけ味方につけよう」と考えています。 そこで、アドラーは普段我々が何気なく使っている「劣等感」という言葉を三種類にわけて考えています。

① 劣等性 器官劣等性ともいわれ、持病や身体的な特徴に基づくもの  客観的に観察される「人との差異」

② 劣等感 理想や目標と現実とのギャップ、本人が引け目を感じていること

➂劣等コンプレックス  自分がいかに劣等であるかをひけらかすことで、自身の課題を避けようとする姿勢です。過度な劣等感であり、アドラーは「ほとんど病気」と指摘しています。

これとは逆に「優越コンプレックス」もあり、自分の過去の実績や知り合いの偉大さをひけらかすことですが、これも自分に対する劣等感をこじらせた結果起こるものとしています。 私の言葉に言い換えると「現状認識を正しくしたうえで、理想と現実のギャップを意識し、努力の方向性を見極めるのが重要」ということになるでしょうか。改めて言われると「わかっちゃいるがそれができたら苦労がないよ」という事にはなりすね。難しいことです。 ともかく、こうしてライフスタイルとライフタスク(5つあり、仕事、交友、愛、セルフタスク、スピリチュアルタスクからなる)において、解決すべき問題点を自分を見つめなおし、探し出すところからアドラー心理学は始まります。そして、その課題の解決方法が勇気づけという発想です。ですから、アドラー心理学は「勇気の心理学」ともいわれます。次回は勇気づけに関してお伝えしたいと思います。

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 「Der Sinn des Lebens(生きる意味)」 アルフレッド・アドラー 

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アドラー心理学 II ~自分を変えるのに手遅れはない~

アルフレッド・アドラーの有名なエピソードがあります。

弟子のイギリス人 マーチン・ロスがアドラーに質問します。

マ「何歳になったら性格を変えるのに手遅れですか?」

ア「死ぬ1、2日前かな」

アドラー心理学ではいつでも「人間は自分を変えることができる」 と捉えています。そのため、自分を表す言葉に性格やパーソナリティといった言葉を使わずライフスタイルと日本語では訳されることが多いようです。

ライフスタイルは「自己と世界の現状および理想についての信念の体系」と説明されます。以下の要素から成り立っています。

① 自己概念

② 世界像

③ 自己理念

ライフスタイルを変えるには、自己概念、世界像について自己理想と照らし合せて適切な目標を設定して実行することが大事といわれています。 私が、前回にもお伝えした日本人がアドラー心理学に向いていると考えているのはまずこの根幹をなす発想です。仏教の教えに近いと考えています。

死の直前までライフスタイルを変えられる、 言い換えれば

「死の直前まで自己研鑽をすべきである」

というのは、キリスト教的な教えより、輪廻転生を提唱する仏教的な教えのように感じます。輪廻転生を繰りかえし、いつかは、解脱して理想的な環境で学問を学びたい、そのために自己研鑽を常にして徳を積み重ねたい。仏教の精神、教えの根源に近いと感じています。

そして、これは認知症治療のこれからのキーワードになると私が考えている「認知症は治療から予防に」「No(脳)エイジング」にも重なるところが大いにあります。

ライフスタイルについて説明を加えないと理解しにくいのは

②世界像

についてです。これは、世間、男性、女性、周りの人々など様々なことを「○○である」と認識すること。よく使われる日本語で言うと、常識や固定概念、イメージになるでしょうか。この世界像は非常に定義が難しいと私は考えています。

特に、元号が平成から新元号に変わる今年などは、「平成は○○の時代だった」などという総評が増えるでしょうが、どの側面からみるかによってがらりと変わるでしょう。現代社会は、アドラー心理学が生まれた100年前と比べ、飛行機などの交通手段、インターネットの発達などにより常識や固定概念、などがかなり相違している人たちとのコミュニケーションをとる機会が増えていると考えられます。これはアドラー心理学用語を用いると世界像の多様化になります。

この世界像の多様化に伴う共通認識の齟齬が、日々の日常で多く起こっており、今後もさらに増加すると私は思ってます。そこに意識を向けていないと相手を理解したり、相手との関係性を把握しにくかったり、環境が整わなかったりと、アドラー心理学の根幹である、対人関係の悩みが解決しないことになります。

抽象的な言葉が続いたので、例を出して説明しますと、外国人旅行者を 接客する際には、言語や文化が違う(世界像の齟齬がある)事を念頭に置いて自己概念を自分の意志で変えて(英語を覚えたり、アプリなどを利用する、文化を知ろうとする)自己理想を実現しようとする(どんな人とも協力し合える関係、外国人旅行者にも満足される接客)。これが、アドラー心理学に書かれている「ライフスタイルは自分の意志で変えられる」実例だと私は考えています。

つまり、2020年の東京オリンピックの一つのテーマである「おもてなし」といってもいいのではないでしょうか。日本人にはもともと根深い精神ではありますが、関係性が構築されていない外国人旅行者にはそういう気持ち、スタンスで向き合えるが、逆に関係性の深い恋人、家族、友人、上司、部下には自分のことをわかってほしい気持ちが強いがために(最近よくメディアで使われる「承認欲求」)対人関係で悩みが多く出ているのではないでしょうか。

ライフスタイルは、8-10歳までに形作られ、それに影響を与えるもの(影響因子)としては

① 身体的特徴

② 劣等感

③ 環境(家族関係、兄弟関係、文化)

がかかわるといわれています。

次回には、劣等感についてもう少しお伝えできたらと考えています。

参考 現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄   

 「Der Sinn des Lebens(生きる意味)」 アルフレッド・アドラー 

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アドラー心理学 I ~人間の悩みはすべて対人関係である~

以前デール・プレデセン医師の著書「アルツハイマー病 真実と終焉」

という本について当ブログでもご紹介させて頂いたのですが、有難い事に評判がよく、他にもおすすめの精神科・心理学領域の本はないかという御要望を多数いただきました。ですので、時折話題になった精神科・心理学関連の本を御紹介しエッセンスだけでもお伝えできればと思います。

今回は、数年前から話題になりましたアドラー心理学について。

名前だけは聞いたことがあるという方が多いのではないでしょうか?一時期本屋さんで関連書が山積みにされていました。「嫌われる勇気」「勇気の心理学」「人生の意味の心理学」などの題名で色々関連書があります。これからはアドラー心理学に沿ってその考え方をご説明していきます。

アドラー心理学はまず、悩みの根源を知って幸せについて考えることから始まるといわれています。幸せと悩みは対極にあるような存在と考え、幸福感を遠ざける悩みを発想の転換により消すことが目標となります。

アドラー心理学では、「ヒトが抱える悩みはすべて対人関係である」と考えています。

例えば、会社や学校に行きたくない→苦手な人がいる、自分の意見が言えない→嫌われるのが怖い、やせたい→他人と比較して醜い自分が嫌だ、子育てがうまくいかない→親子関係に自信がない

など、『私たちの悩みには、必ず他者がかかわってくるので、対人関係が改善されれば悩みが解決し、幸せにより近づく』と考えているのがアドラー心理学です。対人関係は次の4つの要素に影響を受けるので、どれかが変われば影響を受けて自然と変化が生じます。

  1. 自分(自分の捉え方や行動)
  2. 相手(相手の捉え方や行動)
  3. 関係性(恋人同士、上司と部下といった関係)
  4. 環境(職場や住まいなど)

しかし、相手の考え方を変えるのは至難の業ですし、関係性を完璧にコントロールするのは難しい。理想の環境を追い求めるのも限界があります。つまり、対人関係を好転させたいときに即効性があるのは、自分の意志で自分自身を変えること「まず自分が変わること」が重要としています。

このあたりの発想は、CBT(認知行動療法)にも取り入れられていて、現代の精神療法にも応用されている重要な考え方になります。

アルフレッド・アドラー(1870年2月7日―1937年5月28日)は、約100年前に御活躍されたオーストリア出身の精神科医ですが、ジークムント・フロイト、カール・グスタフ・ユングといった今でも心理学の初期に学ぶ超有名な心理学者達と並んで評される現代パーソナリティ理論や心理療法を確立した一人と言われています。

このアドラー心理学は、現代社会においても大変重要な考え方になりますし、日本人向きの心理学と私は考えていますので、また次回もその理論をお伝えできればと考えております。

 

参考 現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄

「Der Sinn des Lebens(生きる意味)」 アルフレッド・アドラー

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え ダイヤモンド社 岸見 一郎

勇気の心理学 Discover 永藤 かおる

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