認知機能を回復させる新治療法

「リコード法」と呼ばれる新しい治療法を確立したのは、この分野で30年にわたり研究を続けてきたデール・ブレデセン医師。アルツハイマー病など神経変性疾患の世界的権威として知られる。

ブレデセン医師は2017年8月、リコード法についてまとめた書籍『アルツハイマー病 真実と終焉』を本国アメリカで一般向けに発売し、ニューヨーク・タイムズやウォールストリート・ジャーナルでもすぐにベストセラー入りを果たした。

リコード法で治療すれば認知機能を回復でき、早期であれば完全回復も期待できるという。

その治療プログラムは、食事、運動、睡眠といった生活習慣の指導や、脳の栄養不足を補うサプリメント、脳トレーニング、ストレス対策など、実に多岐にわたる。

リコード法は、ひとりでは迷子になってしまうような状態だった患者が職場復帰を果たすなど、素晴らしい成果を挙げている。まさに、これまでの医療の常識を打ち破るものだった。

リコード法を始めるにあたっては、アミロイドベータが脳に溜まる3つの原因に対する脆弱性を的確に検査する必要がある。ブレデセン医師はこれを「認知機能検査」と呼ぶ。

実は、アルツハイマー病と診断される15~20年前から、すでに病気は始まっている。年齢でいえば、ちょうど40歳を迎えた頃からが危なく、病気がひっそりと進行し始めている人が多い。

50代になったら腸の内視鏡検査を行うように、40代のうちに認知機能検査を受けるのが理想的だという。

恐ろしいことに、認知症は発症するまで、ほとんど何の症状もない。あったとしても、「些細な物忘れ」「夕方に疲れが出る」「人の顔を覚えにくい」など、“歳のせい”で片付けてしまうようなものばかりだ。

言葉がうまく思いつかない、会話に入れない、少し前の出来事もすぐに忘れてしまう、いつも通い慣れた高速道路でどの出口を出れば家に帰るかわからなくなってしまう……。放置したままだと、このようにいずれ認知機能の障害につながっていく。

そして、認知症と診断される頃には、病気自体はすでに末期を迎え、日常生活に介護が必要な状態になっている。

生活史を振り返ってみよう!

認知機能が低下している原因を確かめる上では、これまでの生活史を振り返ってみることも大切だ。

頭のケガや過去に受けた全身麻酔、喫煙、飲酒、別の病気で処方されている治療薬、口腔内の不衛生、いびき、慢性副鼻腔炎、自宅・職場・車のカビ、ダニに噛まれたこと、化粧品やヘアスプレー、制汗剤の使用、便秘、あまり汗をかかない、といったことも手がかりになるという。

自分で認知機能の低下を自覚している段階であれば、リコード法で今のところ全ての人が回復しているという。しかし、症状がある程度進んでしまうと、100%の回復は望めなくなっていく 。

このため、ブレデセン医師は「認知機能検査で目標値から外れている項目があれば、すぐにリコード法を始めてほしい」と力説している。

これは症状がない人も同じで、この時点からスタートすれば、一生アルツハイマー病を寄せ付けずに過ごすことも可能だ。つまり、予防できるわけである。

次回へ続く

参考 

現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄    

アルツハイマー病 真実と終焉 ソシム デール・ブレデゼン    

東洋経済オンライン2018年2月16日。5月11日

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リコード法について改めて注目が集まっています

令和時代の幕開け、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

昨年このブログでもお伝えした、「リコード法」ここ最近また注目を集めているようで問い合わせが非常に多くなっています。 今回は、より具体的な実践方法も含め、改めて「リコード法」と当クリニックの推奨する「尼崎療法」の共通点をお伝えしていきたいと思います。

まずは、東洋経済オンライン2018年2月16日。5月11日同じ筆者からの2つの記事からの抜粋をお読みください。

アルツハイマー病は治療によって回復可能だ

500人以上が回復した革命的治療法とは?

超高齢社会を迎えた日本。2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると推定されている。しかし、これまで画期的な治療法はなく、認知症と診断された人は「現在のところ確実な治療法はありません」と医師から告げられるのが関の山だった。 ところが4年前、驚くべき研究結果が発表された。なんと認知症のうち6割強を占めるアルツハイマー病は、治療によって回復することが分かったのだ。 アメリカでアルツハイマー病から500人以上を回復させた革命的な「治療法」と「予防法」について、『アルツハイマー病 真実と終焉』(ソシム)を翻訳した医学ジャーナリスト、山口茜さんが解説する。

今後ますます高齢者人口が増えていく日本にとって、認知症にまつわる経済的負担がこれ以上膨らめば、国の医療体制の存続にも影響しかねない。認知症は人生を奪われる患者自身だけでなく、介護にあたる家族の人生も巻き添えにする。

認知症を起こす原因の6割以上を占めるアルツハイマー病で有効な治療法があれば、日本にとって朗報となるだろう。

「炎症」「栄養不足」「毒素」の3つが原因

アルツハイマー病の回復がヒトで初めて論文報告されたのは2014年。「アルツハイマー病患者の回復が史上初めて発表された」とのニュースは、瞬く間に世界を駆け巡った。

アルツハイマー病の原因はこれまで、脳に「アミロイドベータ」と呼ばれるタンパク質が蓄積することとされてきた。そして従来の治療は、脳に溜まった悪者として、アミロイドベータの除去に主眼が置かれてきた。

しかし、アミロイドベータを除去する薬剤は、症状を緩和させることはあっても、病気の進行を抑制させたり回復させたりしなかった。

アルツハイマー病でアミロイドベータがなぜ脳に溜まるのか――。研究の結果、「炎症」「栄養不足」「毒素」の3つが原因であることが分かった。

アミロイドベータが脳に蓄積する3つの原因

(1)炎症(感染、食事、その他さまざまな原因による)

(2)栄養素の不足(神経栄養因子、ホルモンなど)

(3)毒素(カビなどの生物毒や金属など)

さらに、アミロイドベータは単なる悪者ではなく、脳の防御反応による「脳細胞を守る兵隊」であったことも分かった。アミロイドベータが溜まる3つの原因は、脳にとって脅威だったのだ。

ところが、その脅威が払拭されないままだと、アミロイドベータが過剰になり、最終的に守るべき脳細胞を壊してしまう。

裏を返せば、アミロイドベータが溜まる原因(脳の脅威)を取り除いていけば、アルツハイマー病から回復でき、病気にかかるリスクも低減できる。新しい理論に基づく治療プログラムがこれを可能にする。

次回、認知機能を回復させる新治療法、へ続く

参考 

現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄    

アルツハイマー病 真実と終焉 ソシム デール・ブレデゼン    

東洋経済オンライン2018年2月16日。5月11日

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認知症予防の3つの柱 プラス TWO(睡眠編)

 認知症予防との関連で最も注目されているのが睡眠です。

以下にPRESIDENT ONLINEの記事を紹介いたします。

睡眠で脳内の”ゴミ”を掃除しないと認知症

脳内の「ゴミ」は、睡眠で一掃できる!

「近年の研究で、睡眠と認知症の間には、密接な関係があることがわかってきました」 兵庫県尼崎市にある長尾クリニックの院長で、『認知症は歩くだけで良くなる』など、数多くのベストセラー家庭医学書を執筆する長尾和宏氏はそう語る。

「認知症の主要な原因であるアルツハイマー病は、アミロイドβというタンパク質の『ゴミ』が脳内の神経細胞に蓄積することで発症します。ワシントン大学の研究では、眠りを断たれたマウスの脳内にアミロイドβが蓄積し、睡眠させると少なくなることが報告されました。つまり家庭のゴミが毎朝ゴミ収集車で回収されるように、脳内のゴミは睡眠時に分解され、一定以上の量に溜まらないようになっているのです」

ところが睡眠不足になると、アミロイドβの分解が追いつかず、脳内の「ゴミ」は蓄積する一方となってしまう。それが認知症を引き起こす原因となるのだ。さらに近年解明されてきた「脳内の記憶メカニズム」の観点からも、睡眠不足が認知症を招くことがわかってきたという。

「人間の記憶は、側頭葉の内部にある『海馬』という器官から大脳皮質に転送されることで定着します。海馬の神経細胞は1億個であるのに対し、大脳皮質の神経細胞は100億個。いわばパソコンのメモリーと外部の大容量ハードディスクのような関係です。海馬の容量は少ないため、新しい出来事を記憶するためには、どんどん大容量の大脳皮質にデータを転送しなければなりません。その海馬から記憶の転送と固定が行われるのが、睡眠中なのです。そのため睡眠に問題があると、新しい記憶の保持ができなくなってしまいます」

(中略)

それでは中高年が「いい睡眠」習慣を身につけ、認知症を予防するにはどうすればいいのか。長尾氏は1つ目に「朝一番に少しでも太陽をあびること」を推奨する。

「朝の太陽光の中に含まれる紫外線は体内時計をリセットし、『やる気ホルモン』と言われるセロトニンの放出を促します。セロトニンは覚醒レベルを上げるとともに、夜に睡眠を誘発する脳内物質のメラトニンの産生を促します」

もう1つ認知症予防のために勧めるのが「歩くこと」だ。

「脳を健康に保つには、十分な血流が必要です。認知症になると脳の血流が減りますが、歩くことで脳内の血流を増やすことができます。1日10分間。朝、昼、晩の3回、歩数で言えば4000~8000歩ほど。血圧が上がらないスピードの普通のウオーキングで十分です。ジムで筋トレをしたり、急にジョギングを始めたりする必要はありません。激しい運動をすると体に有害な活性酸素の量が増え、老化が早まります」

また歩くことで骨に衝撃を与えることも重要だという。

「近年、骨は体を支えるだけでなく重要な『臓器』の1つで、全身に向けてさまざまなメッセージ物質を出していることがわかってきました。健康な骨からはオステオカルシンという大切なホルモンが出て、血流に乗って脳の海馬まで届き『記憶力をアップせよ』というメッセージを伝えていることが判明したのです。同じく骨から出るオステオポンチンという物質は、免疫を強化する役割も担っています」

(以下略)

以上のように、前回当クリニックでも取り組んでいる運動療法「暗記歩き」を取り入れることが睡眠の質を保つためにも重要であり、認知用予防のために、一石二鳥いや三鳥かもしれない、というのをご理解いただければと存じます。

睡眠に関しましては、当クリニックでは睡眠専門外来もさせていただいておりますので、初診時から睡眠に関しての精査・指導を行っております。

今後も当クリニックでは、「認知症予防」に全力で取り組んでいきたいと考えております。また新しいエビデンスがありましたらこのブログでお話しさせていただきます。

今回も御一読頂き誠にありがとうございます。  

参考 

現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄

睡眠で脳内の”ゴミ”を掃除しないと認知症 PRESIDENT 2018年9月17日号

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認知症予防の3つの柱 プラス TWO(食事編)

前回まで複数回にわたり、日本認知症予防学会の提唱する認知症予防3つの柱についてご説明し、それに基づいた当クリニックでのオリジナル療法をご紹介いたしました。 今回は、さらに当クリニックが提唱する、認知症予防に大事なふたつの柱をお話ししたいと思います。その「TWO」、2つとは、「食事」と「睡眠」です。

食事に関しましては、診察時に本当によく質問があります。

以前ブログでも リコード法としてご紹介しましたが、今のところ一番エビデンスがあるのが地中海料理です。地中海料理とは、ギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペインなど地中海沿岸の料理。オリーブオイルやナッツ類、野菜、果物をふんだんに使うのが特徴。BMJ(英医学誌、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)の発表によると地中海料理を食べていると、循環器疾患による死亡リスクは9%、がんの場合は6%、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の発症率も13%減少したという研究結果が出ています。

また、食事を含めた生活習慣病への取り組みは、40代から始めるのがよいとされています。野菜や果物、魚を中心に、豆類やオリーブオイルを取り入れ「日本式地中海料理」とでもいうべきメニューを工夫できるといいですね。 また、認知症予防に効果があるといわれるのは抗酸化作用がある「ポリフェノール」です。赤ワインが有名ですが、他にもいちご、ぶどう、大豆、紅茶などでも摂取できますので是非日々の生活に取り入れて頂ければと思います。

当クリニックでの取り組みとしましては 、初診時より生活習慣病に対しての薬物療法、生活指導 をさせていただいております。 今回も御一読頂き誠にありがとうございました。

参考 

現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄   

 British Medical Journal 2008.9.12 Francesco Sofi

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当クリニックでの認知症予防の取り組み 「俳句療法」と「暗記歩き」

前回は、ゴルフが認知症予防で注目されているお話をしました。 ただ、やはり自宅でできる認知症予防も非常に求められています。 それは、日本認知症予防学会 理事長 浦上教授は、短歌や俳句といった創作的な活動や普段使わない神経を刺激するために利き腕と違う手を使うこと、を提唱しています。

俳句といえば、近年TBS系列の番組「プレバト」テレビ番組から火が付いた「俳句ブーム」がありますので、俳句を以前より身近に感じることが多いのではないでしょうか。当クリニックでも、平成31年2月より当クリニックオリジナルの「認知症予防のための俳句療法」に取り組んでおります。以前にご説明した認知症予防の3つの柱である①知的活動である上に、➂家族でのコミュニケーションもとりやすいようにあらかじめしております。また、もちろん俳句を一度も作ったことがない方がほとんどでしょうから、季語などもきちんと取り入れられるよう一から指導させていただき、例えばコンクールなどに出品できるようなきちんとした俳句がどなたでも簡単に作れるよう 工夫しております。実際、最初は俳句といわれて戸惑う方もいらっしゃいますが、大勢の患者様から好評をいただき、また、名句も多数生まれております。

また、ご自分一人で取り組める認知症予防として、②運動療法をとりいれたものとしては、「コグニサイズ」として以前にご説明した、「デュアルタスク」(二つのことを同時にすることで脳を刺激する)であることが重要です。こちらに関しては平成31年6月以降に開始予定ですが、身近なものの名前を暗記しながら、散歩して頂く「暗記歩き」をご紹介していく予定にしております。この暗記歩きは、逆に大学受験で「歩きながら暗記」として近年ものすごい注目をあびて、大手予備校でも取り入れられています。暗記の内容としては、野菜や果物、お花名の名前など日常的な単語から、国名や歴史上の人物など色々ご用意しております。

また、銀行や病院に行ったときなどに普段字を書いていないから住所や名前を書くのが不安になるという御意見を多数いただきましたので、 書き取り練習も当クリニックのオリジナルの季節の教材を使い、指導しております。以前にブログでもご紹介した「キョウヨウとキョウイク」のキョウヨウに関しましては、御本人様の個性や興味、認知症・MCIの進行度、御家族様のご要望、など様々な観点を踏まえたうえで、治療につながるように、「MCIカラーリング」「俳句療法」「季節の書取り練習」「暗記歩き」複数のオリジナル療法が充実させてまいりました。キョウヨウ(今日用)に是非お役立ていただければと思います。 ご興味ある方は是非当クリニックまで気軽にご相談ください。 今回も御一読頂き誠にありがとうございます。

参考 

現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄

日本認知症予防学会 ホームページ

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認知症予防の3つの柱<全てを兼ね備えたお薦めスポーツ>

最近、認知症予防のための生活習慣が注目されており、当クリニックでもよく質問を受けます。「認知症治療よりまず認知症予防」、当クリニックが20年前より提唱しているテーマが浸透してきており大変うれしく思っております。今後も新しいエビデンスが出るたびにブログで紹介していきたいですが、今回は日本認知症予防学会の提唱する認知症予防3つの柱についてご説明し、それに付け加えた当クリニックでの取り組みについてお話しできたらと思います。

日本認知症予防学会の浦上克哉理事長(鳥取大学医学部教授)は、 認知症予防の3つの柱として「知的活動」「運動」「コミュニケーション」をあげています。

1、 知的活動

囲碁や将棋、編み物など頭を使って指先を動かすこと。また、楽器を演奏したり、絵をかいたりという芸術活動や農作業、料理も手先と頭を同時に使うので効果があります。また、様々なゲームが知的活動に含まれているといわれています。

2、 運動

「コグニサイズ」を推奨しています。「コグニション」(認知)と「エクササイズ」(運動)を組み合わせる。散歩をしながら計算するとか、頭を使いながら体を動かす、しりとりしながら歩くなどです。運動の内容としては、週に2-3回息が切れるくらいの強度の運動が良いとされています。

3、 コミュニケーション

これは人といないと難しいですが、人が集まるところに行く、もしくは家族と集まって会話する。例えばゲームなどをして、「素晴らしかったな」などといろんな会話が生まれ刺激になるといわれています。また、電話やインターネットを使った会話でもよいといわれています。特に離れて暮らすご家族様にとっては、一日一回電話で話すことが、いまワイドショーで話題の「アポ電詐欺」の予防にもつながり一石二鳥ではないでしょうか。

以上3点があげられています。

この3つを兼ね備えて、今注目されているお薦めのスポーツ、 それは、「ゴルフ」です。 次回に、詳しくご説明いたします。 今回も御一読頂き誠にありがとうございます。

参考 現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄

日本認知症予防学会 ホームページ

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日本人に多い認知症5疾患のまとめ<認知症予防のため知っておきたいキーワード>

前回認知症予防の日が昨年に制定されたお話をしました。今後数回にわたり、認知症予防についてお話していきたいのですが、まず、前提としてここで私がお話しするのは認知症の中でも「アルツハイマー型認知症」「脳血管型認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭葉型認知症」「アルコール性認知症」この5つの疾患について述べたいと思います。認知症全てにあてはまるわけではない、例えばクロイツフェルト・ヤコブ病など特定の頻度の低い疾患は個別に対処法がありますし、逆にアルツハイマー型認知症だけのことを述べているわけでもないことをご理解ください。もちろんこの短い文章ですべてを説明するのは無理なのですが、 最低限知っておいてほしいキーワードを並べています。参考にしていただければと思います。 この5つの疾患について説明いたします。

1、 アルツハイマー型認知症

脳にアミロイドβやタウと呼ばれる特殊なたんぱく質が溜まって神経細胞に影響を与え、認知機能に障害が起こると考えられている。 日本人の認知症の約半数かそれ以上といわれている。

危険因子 加齢(65歳以上で8人に1人、85歳以上で2人に1人)、女性、生活習慣病、甲状腺機能異常、頭部外傷の既往

2、 脳血管型認知症

脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血などの病気により脳の細胞に酸素や栄養がいかなくなることで障害が起きる。日本人では微小な脳梗塞、ラクナ梗塞が原因でおこる皮質下型脳血管型認知症が多いといわれている。

危険因子 加齢、男性、生活習慣病、喫煙、肥満

3、 レビー小体型認知症

大脳の皮質の神経細胞内に「レビー小体」と呼ばれるたんぱく質が溜まることによっておこる。1976年に小阪憲司医師(横浜市立大学名誉教授)によって発見されました。大きな特徴は、幻覚(幻視)がハッキリ現れる(約80%)、また体の硬直がはじまり動作全般が遅くなる、転倒のリスクが高い、パーキンソン病に似ている症状がみられます。

危険因子はまだわかっていませんが、初期に 嗅覚障害やレム睡眠行動障害(大きな寝言など)がみられるといわれています。

4、 前頭側頭葉型認知症(FTD)

脳の前頭葉と側頭葉が萎縮して血流低下することによって、脳の機能に障害が起こる。タウ蛋白やTDP-43という蛋白が関与がわかってきているが、まだ、解明されていないことが多い。 認知症の10人に1人、65歳以下に発症することが多い。 男女差はほとんどなく、家庭内で遺伝する傾向。 脳の中で、前頭葉は「人格、社会性、言語」を、側頭葉は「記憶、聴覚、言語」を主につかさどっています。 そのため、FTDを発症すると特徴的な症状が出ます。

A,社会性の欠如 万引きのような軽犯罪、身だしなみに無頓着

B,抑制が効かない 相手に対し暴力をふるうこともあります

C,常同行為 同じ道順、同じ動作をとりつづける

D,感情鈍麻 他人に共感できない、感情移入できない

E,自発性な言葉の低下 相手に言われたことをオウム返し

5、 アルコール性認知症

アルコールを多量に飲み続けたことで、脳血管障害やビタミンB1欠乏による栄養障害などから脳の機能に障害が起こる。    

危険因子 アルコール多飲、栄養不足    

アルコール適量の目安(厚生労働省 健康21)    ビール(アルコール度数5度 中瓶 1本 500ml)    日本酒(アルコール度数 15度 1合 180ml)    ウィスキー(アルコール度数43度 ダブル1杯 60ml)    ワイン(アルコール度数 14度 グラス2杯 180ml)    缶チューハイ(アルコール度数 5度 1.5缶 520ml)

以上が日本でよくみられる認知症です。アルツハイマー型認知症は最近よく耳にしますが、それ以外の疾患はまだあまりなじみがなく、別の認知症と鑑別が難しいものもあり、一様に扱われることが多いのが現状と思います。次回には、認知症予防について「詳しくかつ、わかりやすく」をモットーにお話しできたらと思います。 今回も御一読頂き誠にありがとうございます。

参考 現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄    厚生労働省 健康日本21 日本認知症予防学会 ホームページ

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知っていますか?認知症予防の日

今年4月1日に新元号が発表され、新しい時代が幕を開けようとしています。それに伴い多種多様な変化があると思います。しかしある意味一番影響が大きいのは天皇誕生日を含めた祝日の変更かもしれません。今年はゴールデンウィークも10連休になりますし、生活に大きな影響を与えそうです。この祝日に代表される記念日は近年増加傾向で、いまやほぼ毎日なにかの記念日と言っても過言ではありません。過言どころか、実際に一般社団法人 日本記念日協会のホームページを見ると毎日複数の記念日があり、「へーそうなんだ」と感心するばかりです。

例えば、このブログを作成している2019年3月28日でみると、 「三ツ矢の日、三ツ矢サイダーの日、八幡浜ちゃんぽんの日、グリーンツーリズムの日」とあります。言われてみれば、三ツ矢(328)サイダーの日ですよね。もっと有名になってもおかしくない「いい語呂合わせ」だと個人的には思います。八幡浜ちゃんぽんは、日本記念日協会によると愛媛県八幡浜市のソウルフードで、鶏がら・鰹・昆布などでダシを取った黄金色のスープで、あっさりとした風味が特徴。魚の町八幡浜らしく特産品のかまぼこ・じゃこ天などが具材として使われているめちゃめちゃ美味しそうな食べ物です。ちなみに私の実家の姫路のソウルフードは姫路おでん、ショウガ醤油で食べるおでんです。これもめちゃめちゃ美味しいです。機会があればぜひご賞味ください。

閑話休題、最後のグリーンツーリズムとは農山漁村地域での滞在型の余暇活動のことで大分県のNPO法人が定めている記念日とのことです。ちなみに、今年になって新しく登録された記念日には、口臭ケアの日(5月4日)、サトウ記念日(3月10日)焼肉開きの日(3月第四土曜日)IT断食の日(11月9日)などきになる記念日がいっぱいです。ちなみにサトウは砂糖ではなく、声優さんの名前でした。もし気になった方は是非日本記念日協会のホームページを見てください。自分の誕生日で調べると色々あってより感心することばかりです。ちなみに私の誕生日は16個も記念日がありました。

やっと本題に入りますが、認知症予防の日というものが2018年に設定されました。何月何日だと思いますか?といっても、当たる可能性がとても低い6月14日です。なぜかというと、認知症の大きな原因であるアルツハイマー病を発見したドイツの医学者・精神科医のアロイス・アルツハイマー博士の誕生日1864年6月14日にちなんでいるからです。これは、福岡県北九州市に事務局を置く日本認知症予防学会が制定しました。次回以降は、認知症についての知識を再度確認して頂いたうえで、この日本認知症学会の提唱する認知症予防についてのお話から、当クリニックでの認知症予防への取り組みなどを数回にわたってお話しできればと思っております。 今回も御一読頂き誠にありがとうございます。

参考 現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄    一般社団法人 日本記念日協会 ホームページ

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アドラー心理学と稲盛和夫先生の考え方の共通点

アドラー心理学に欠かせない価値観として「共同体感覚」という考え方があります。アドラー心理学を学ぶ者にとって少し理解しにくい部分になりますが、それは「人は共同体への所属感・貢献感で幸せを感じる」 というものです。そして、「より大きな共同体からとるべき行動を考える」 家族、地域、会社、国、人はいろんな共同体に属していますが、それぞれは対立するものではないはずで、より広い共同体から物事を見れば「自分の役割、責任」「相手の役割、責任」など視野が広がることで、悩みが解決することがあるというものです。抽象的で一見難しそうですが これは、稲盛先生のお言葉から考えますと理解しやすく、

「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること、この経営理念を実現する」

「JALの再建では「リーダーが私利私欲に走らず、利他の心で判断すること。要は人間として正しくあることを、経営でも考えなくてはいけませんよ。」と話すことから始めました。するとエリート幹部たちは、「なんでそんな当たり前のことを教わらなきゃならんの」という顔をする。それでも私は、「知ってはいるでしょうが、自分のみについてはいないでしょう。」と懲りずに何回も話し続けました。本当に納得してもらうまでに、50回くらい塙失したと思います。」

「アメーバ経営。組織をアメーバと呼ぶ小集団に分けます。各アメーバのリーダーは、それぞれが中心となって自らのアメーバの計画を立て、メンバー全員が知恵を絞り、努力することで、アメーバの目標を達成していきます。そうすることで、現場のひとりひとりが主役となり、自主的に経営に参加する「全員参加経営」を実現しています。

「つねに前向きで建設的であること。感謝の心を持ちみんなと一緒に歩もうという協調性を有していること、明るく肯定的であること。善意に満ち、思いやりがあり、優しい心を持っていること。努力を惜しまないこと。足るを知り、利己的でなく、強欲ではないことなどです。」

以上、本当に少しだけですが、稲盛先生のお言葉を紹介させていただきました。アドラー心理学で取り上げた問題点、対人関係での悩みを、アドラーは勇気ということばで自分と周りを巻き込んで前向きに考えることで解決しようとし、その目標は共同体への貢献により幸福感を味わう事でした。それを自ら禅の教えと感謝の心、利他の精神をもって、実践し、周りに大きく影響を与え、社会に大きな貢献を果たされたのが稲盛先生であったように愚考しております。このように、日本人には馴染みがあってかつ、異文化交流が進む、オリンピック、万博前の日本に重要な考え方の指標であるアドラー心理学、を御紹介させて頂きました。 今後も、話題になった精神科関連、心理学関連をとりあげ、現代の社会問題と融合してご紹介できたらなと考えております。

参考 現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄   

 「Der Sinn des Lebens(生きる意味)」 アルフレッド・アドラー 

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え ダイヤモンド社 岸見 一郎

勇気の心理学 Discover 永藤 かおる

生き方 人間として一番大切なこと サンマーク出版 稲盛和夫

京セラフィロソフィ サンマーク出版 稲盛和夫

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アドラー心理学 ~勇気があれば勇気づけできる~

前回、課題を解決するキーワードが「勇気」であるとお伝えしました。 アドラー心理学では「勇気=困難を克服する活力」であり、 「勇気がある人は、自己受容している」と表現しています。 活力には

① 身体的な強み

② 知的な活力

③ 感情的な持久力

④ 創造的なイメージ

などが挙げられています。

「自己受容=根拠をもとに自分を肯定的に味方につける態度・能力」 で、自己受容していると自然に他者も認め、他者と協力的な態度になり対人関係が良好になる。「Im OK. You are OK.」の精神と訳されたりします。 また、勇気は蛮勇とは違うと訳されます。意味は、勇気とは無理な挑戦、無茶な行動を求めない、乱暴な行為は勇気ではない。という事です。 そして、勇気の三要素として、

① 不確定な部分があるチャレンジを引き受ける覚悟

② 立ち向かえば克服できる課題と捉え努力する覚悟

③ 目標達成に向かい協力する覚悟

があると、アドラー心理学では考えられています。 そして、「勇気がある人は人に勇気づけができる」 「勇気がない人は人を勇気くじきする」 良好な信頼関係を築いていくには、上から目線の「ほめる」より共感の「勇気づける」がよいとされています。そのうえで、人生を楽しんでいる人は、みな自分や周囲を勇気づけることが得意であるとアドラー心理学では提唱しています。 この勇気、勇気づけ、勇気くじきの考え方は、実はひも解いてみると、日本人でも提唱される方が多いと考えています。 まず私の中で思い出されるのが、私も敬愛する京セラ・KDDI・日本航空でご活躍された経営者 稲盛和夫 先生です。 その経営哲学は、独特で「生き方」などの名著も多数ありますが、それらの著作の中から次回のこのブログでいくつか名言をご紹介したいと思います。

参考 現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄  

  「Der Sinn des Lebens(生きる意味)」 アルフレッド・アドラー 

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え ダイヤモンド社 岸見 一郎

勇気の心理学 Discover 永藤 かおる

生き方 人間として一番大切なこと サンマーク出版 稲盛和夫

京セラフィロソフィ サンマーク出版 稲盛和夫

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