今回は認知症予防についての食事、ケトフレックスについての注意点をお伝えしたいと思います。
ここでおさらいすると、ケトフレックスとは、アミロイドβという、アルツハイマー病の原因と言われている物質をためないようにする食事のことです。
アミロイドβと脳の関係をイメージすると、
こうなります。
では、ここからは、ケトフレックス12/3の注意点にお話ししていきましょう。
糖質を制限してケトン体を作れるようにすることは重要ですが、急に厳しく糖質を制限しすぎるとうまくいかないことが多いようです。
特に、もともと食の細い高齢者が糖質制限を厳しくやると体重が減りすぎてしまうことがあります。極端にやせてしまうとエネルギー不足による脳の機能低下につながりますので、肥満の方以外は体重を維持することを心がけてください。少なくとも週に1度は体重を測定して過剰な体重減少が起きていないかチェックすると良いでしょう。糖質の制限は、砂糖の入った甘いお菓子や飲み物は口にしないようにするところから始めましょう。
次に、食べる順番を意識してください。レストランのコース料理のように、まずはおかずから食べると血糖値が急激に上がりにくくなります。さらによく噛んで食べることも重要です。噛むこと自体も脳の刺激になりますし、消化も良くなるので、しっかり噛んで食べてください。
糖質を減らすことに慣れてきたら、夕食のご飯や麺類、いわゆる主食をやめてタンパク質中心のおかずを1〜2品増やしてみてください。最初は主食がないことに違和感を覚えるかもしれませんが、意外と慣れてしまうものです。ご飯や麺類がないと味を薄めるものがないので自然におかずも薄味となり、高血圧の予防にもなって一石二鳥です。
朝と昼の主食の減量は体調と体重をチェックしながら1〜2週間ごとにチャレンジすると良いでしょう。できれば3ヶ月に1回くらいの頻度で血液検査を実施し、問題が起きていないかどうか確認することをお勧めします。
最後に、まとめますと、ここまで数回にわたり、リコード法の食事法についてご紹介しましたが、どちらかというとケトフレックス12/3は「アルツハイマー病のための治療食」という位置付けであり、本来は定期的な検査結果に基づいてアレンジをしていく必要があります。
リコード法を試してみたい方は、まだ日本には少ないのですが当院のようなリコード法を実践する医療機関に相談してください。当院でも様々な検査や、治療、栄養指導、食事指導に対応しておりますので、是非ご相談ください。
今回も御一読いただき誠にありがとうございました。
文献1)アルツハイマー病の真実と終焉
文献2)大熊 輝雄:現代臨床精神医学第12版 金原出版株式会社