認知症とマスコミ

今川クリニックの院長ブログ

 平成25年6月の始めに厚労省から発表が有り、認知症に関する発信が多くなるのに比例し、国民の関心もかなり高まった。

現在、日本における認知症の人数は450万人とも言われている。また潜在している予備軍は400万人と推定されている。このような情報が巷に流れ、特にアルツハイマー病や脳血管性認知症が人々の心の中に刷り込まれた現在、高齢者の心理状態は、かなりの不安感を抱いていると推察できる。

この発表はマスコミにとっては格好の材料となり、日々有識者や様々な角度から情報が流れている。

国民の中にも、自分はこれ等の疾患にはならないと信じている人々がいるだろう。日本人とは、当事者になるまで実感が湧かない民族である。

現実には、認知症患う患者が存在し、支える家族らは患者のことに悩み、様々なストレスを抱え心身共に疲弊している人々が居る。

様々な疾患の中でもアルツハイマー病については、根治する薬剤の開発が進んでおらず、あるのは進行を抑える4剤しかない。更に、治療に掛る費用は、癌と比べ圧倒的にアルツハイマー病の治療費の方が高額となる。この診断が確定すれば、患者のみならず家族の負担は大きい。

ところで、アルツハイマー病の発症は、諸症状に気付き始めた時から15年も遡ると云われていて、云い換えると、医師を訪ねるまでに15年近く年数を要するのである。この病は神経細胞の変性が進行することで大脳皮質にアミロイド蛋白質が沈着する。この過程に15年の歳月が流れる。臨床以前に、この疾患になるのを阻止することが重要であり、世界中の研究者達が日夜研究しているが、残念ながら未だ根治療法が開発されていない。

マスコミが色々な視点から報道しているが、その目的は国民に解って欲しい点にある。

今やアルツハイマー病は国民病となろうとしている。この疾患を進行させる危険因子は多数あり、糖尿病・動脈硬化・さらには心疾患・メタボリックシンドロームも含まれ、これらの環境因子と遺伝子(アルツハイマー病)の二つが挙げられるだろう。
とにかく、環境因子を如何に防御するかが重要と考える。

平成25年空梅雨の夕べ 今川正樹

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