アルツハイマー病(AD)と膵臓を含めた多臓器に関して

今川クリニックの院長ブログ

通常の人体の自然経過は、65歳以上から諸臓器の働きが衰退傾向に入っていく。
この現象は、ヒトと云う高等動物が種の保存の役割を終えると云う事であり、衰退期の段階に入っていく事は自然の厳しい現象である。
これは何もヒトだけの事でなく、地球上の生物に於いても同様である。進化の過程から俯瞰すれば、雌雄の行為の原点であり、子孫が生まれ成育し、個体の果たす役割(子孫の成長)が終わると、個体の自然に対する役割は終える。
ADは、医学的には脳の神経細胞の死(変性疾患)、脳自体の崩壊である事を意味するのではないだろうか?
ホモ・サピエンスの急速な進化と共に、人間の脳の働きもアナログとデジタルのバランスを取りながら進化し続けているが、今世紀に入り、科学技術の進歩がアナログとデジタルのバランスを崩し、デジタル型人間を生み出している。その結果、地球上の生物の中で、人(人間)の病は、進化の過程で疾病の変化を起こした。事実、日本と云う国が、今や癌を筆頭にADを患う人間が増加の一途を辿っている。
今、述べてきたことは何を意味するのか。それは、ADが脳疾患の中でも変性疾患の代表と云う事である。
ADが進行すれば、脳の中でも視床及び視床下部の作用が衰え、これが原因で多臓器に影響を与える。つまり心疾患・膵疾患・腎疾患などの疾病が合併症となって、人間社会の大きな重しとなっている。
軽度認知障害の段階でも、多臓器の衰退が観られる。さらに進行すればADとなり、多臓器はさらに衰退の一途を辿る。
例えば、膵臓の作用は弱くなる。そうなると膵炎・膵がんが現れてくる。そう云う点から観ると、他の臓器も同様の道を辿る事になるであろう。
私は上記に述べた脳の部位に限らず、特に中脳・延髄(自律神経=交官神経と副交感神経のバランスを保つ役割を果たす)が衰退の道を辿る事で、更には大脳の崩壊も進行していくであろうと考える。
現在、日本で発売されている4種類の薬剤を以ってしても、この流れを止めることは不可能であろう。

春の終わりにて 今川正樹
2013年5月27日

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