大脳皮質における認知症

今川クリニックの院長ブログ

大脳皮質における認知症は特に神経細胞が壊れてゆく疾患で、専門用語では変性疾患と呼ぶ病気です。

代表的疾患はピック病(前頭葉型認知症に含まれる)前頭葉‐側頭葉型認知症,アルツハイマー型認知症,レヴィー小体型認知症(後頭葉型認知症)などがあります。その中で現在増加している認知症としてアルツハイマー型認知症(以下AD)があります。今回はこの疾患について話します。

ADには65歳以下の若年タイプと65歳以上老年タイプがあります。患者数の上では65歳以上が多くみられます。当院に来院されるAD患者は、数年前と異なり75歳から90歳前半の方が増えているようです。また若年型は独りで来院されることが多く、ADに診断をする以前の軽度認知障害(以下MCI)は19歳から55歳前後の患者が多くみられます。若年型はMCIの方が多いのですが、脳血流スペクトではADパターンを示していることが多く、発症する前には細胞レベルでの異常が観られます。この段階ではADの診断は出来ず、認知症治療薬の使用は出来ないのです。この段階を無視すると進行しADになる可能性があり、そこで鉄剤療法を始めます。認知症治療薬を使うのは物忘れテストMMSE23/30点、日常生活レベルがCDRで1ステージになってからです。ADの治療は、MCIでの段階即ちADと診断される前から開始することが私の臨床経験では進行を抑えるものと考えています。

次回老人型ADについて話します。

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