薬の効果とは、基本的に何れの疾患であれ、患者を90人とすれば、著効例は30人、無効例が30人、そしてほどほどに効くのが30人という前提がある。ましてアルツハイマー病(AD)患者には上記の法則は通用しない。ADに関して言えば、薬の効果がある人でも進行を抑えるのが精一杯であり、効果がない場合には、やむを得ず介護施設か特別養護老人ホームに入所するかどうか苦渋の決断を迫られることもある。施設に入るには月々の出費が必要であり、認知症患者の家族にとっては大きな負担となることは間違いないであろう。
話を戻すと、認知症の場合、薬だけで患者に対応するには限界がある。一体何をすればよいのか。ヒトの大脳皮質には前頭前野、運動前野、運動野があり、この連合野には会話や書字を行う神経細胞の数が圧倒的に多い。薬剤のみに依存することなく、私見ではあるが、笑うことや患者にストレスを与えないことも進行を抑える要因であろうと考えている。