物忘れが始まる以前に、本人や周りの人が気付くことは困難なことであり、本人が勇気を出して医療機関を訪れることは少ないであろう。
例えば「度忘れの頻度が多い」「複雑な話になるとその話を避けようとする」など、この段階では、周りの人が仮に怪しいと思っていても本人には何も言わないケースが多い。ましてや本人が高齢者の場合、年齢相応だと思い込み細やかな観察をすることもないであろう。多くは、物忘れの前駆症状に気付いても疑心暗鬼になり、不安感のみ先行してしまうのが一般的である。
医療機関において物忘れテスト(MMSE)で30点満点を取れば正常と診断されることが通常であるが、兎にも角にも一人で物忘れ外来を受診する人は甚だ少ないのが現状である。