生命と老化(5)

今川クリニックの院長ブログ

前回に酸化―還元反応が細胞の生命にいかに重要かを述べた。

まず、情報が何をするのか。即ち、ひとつ細胞がその中に仲間を作る情報があり、それはDNAと言う遺伝子の配列の中に隠されている。多細胞系の細胞には核DNAとミトコンドリアDNAの二つの核が在り、それぞれの核が役割を有している。前者はたんぱく質を作り、後者は生物学的エネルギー即ちATPを作ることにある。                  
真核細胞には細胞内に二つDNA(核DNAとミトコンドリアDNA)があり、それぞれの役割がある。すなわち核DNAは、主にタンパク質(酵素、構造タンパク質、例えば膜たんぱく質等の細胞内小器官を作る上の情報)を有している。その背景にこのDNAは、チミヂィン(T)、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)の4個の塩基の組み合わせを作る。つまりT―A、G-C二つの組み合わせの形で二重ラセンが形成される。二重ラセンは雌雄の塩基列(ラセン)から対を構成している。この二本のラセンの組み合わせにたんぱく質を生み出す情報が畳み込まれている。DNAと言う遺伝子はその情報が、いつ必要なのかは細胞の内外の細胞環境に反応するが、細胞の発達が時系列に制御されている。

ところで、日本の現代社会では、人が死ねば遺体の処理は葬儀場の焼き場で焼却する仕組みになっている。埋葬せず、なぜ焼却を社会は選ぶのだろうか。或る元検事総長が書いた書籍のひとつに「人は死ねばゴミになる」と云う本がある。癌告知を自ら望み、そう遠くないだろうと医師に告知された。自分が死ねばただのゴミに過ぎないと考え、この書物を世に出そう決心したのだろう。死ねばゴミどころか、火葬すれば灰でしかない。氏の生き様を後世に伝えるには文章化する以外にない。生ある存在はいずれ死を迎える。これが35億年前の生命生誕に潜む酸化還元反応の法則である。電子とプロトンのやり繰りが生命の進化の始まりではなかっただろうか。

ところで、高等哺乳類でなくとも、生命の進化の過程で同種の生命を継続させ、その繰り返しの過程で、遺伝子に含まれている遺伝情報に突然変異が生じる。この現象がダーウインの自然淘汰の法則である。かつ地球上の環境が時の流れに沿い、生命の種に多様性が現れる。
話を最初に戻せば、この地球に生命が生まれる条件とは、細胞がその生命を複製するエネルギーの生産と、そのエネルギーを利用して情報の生産を多く生み出すことが必要である。しかしATP(生物学的エネルギー)を活用する化学反応の過程でRedox 反応、即ち酸化―還元反応が生じるが、その結果free radical(酸化的ストレス)が細胞内の新陳代謝を阻害する現象が生じるが、発達過程においては素早く処理する補酵素が細胞内に充分あり、消去される。この現象の背景に細胞内水分子がイオンとなり、free radicalを消去する働きがあると推定している。こうして多細胞系の種の保存と進化が、地球環境の変化と時系列に従い流れていくのだろう。
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次回は水分子と老化について述べたい。

2011/8/6 広島原爆投下の日 
今川正樹

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