透明な脳 ~第三章 風景を解釈する脳 「記憶する能力」と人類の進歩①

今川クリニックの院長ブログ

さて目から入ってきた情報をたよりに脳は対象物の色や形、それに動きなどを判断するのだが、人間の人間たるゆえんは、その情報を過去の記憶と結び付けて、あらたな感情の世界を形成するという点にある。感動を脳科学の立場から分析してみると、こうした一連の動きであることが分かる。脳を通じて単に物が見えるだけでは、犬や猫と少しも変わらない。過去の体験を基礎として、あらたに脳が描き出す外界を、違った角度から解釈できるようになる過程こそ、精神の発達を意味する。

ここからやや芸術論の領域になるかもしれないが、ひとはよくある風景を見て感動した体験を口にする。かりに夏の太陽が降り注ぐ海辺に立って、光る海面を眺めているひとが二人いるとする。このとき海と太陽という対象は共通しているのに、二人はそれぞれ違った印象をうけているかも知れない。

自著「透明な脳」より

関連記事

  1. 今川クリニックの院長ブログ

    爆発

  2. 今川クリニックの院長ブログ

    認知症新薬 期待されるその独自の効果とは?

  3. 今川クリニックの院長ブログ

    リコード法の基本と尼崎療法の共通点(2)

  4. 今川クリニックの院長ブログ

    生命と老化(1)

  5. 今川クリニックの院長ブログ

    介護ケア

  6. 今川クリニックの院長ブログ

    水と老化(6の1)

最近の記事 おすすめ記事
  1. 新生活

    2024.04.17

  2. 新年に寄せて

    2024.01.9

  3. 今川クリニックの院長ブログ
    新年のご挨拶

    2024.01.1

  1. 今川クリニックの院長ブログ
  2. 今川クリニックの院長ブログ
アーカイブ