最近、テレビ等のマスコミを通して、アリセプト以外の認知症新薬の宣伝は枚挙にいとまがない。しかし、認知症の進行がどの程度抑えられるのか、どのような重大な副作用があるのか等、具体的な告知はされていない。これらの新薬は、海外で開発され日本に導入された薬剤であり、認知症を治す薬剤ではない点を、国民一般の人々は頭に入れて置くべきであろう。
認知症は、脳の進行性変性(神経細胞が何らかの原因で消失する現象を意味する)疾患である。従って、現在の時点では不治の病である事に他ならない故、新薬の効果もアリセプト同様変わりはない。
本来薬と云う物質は、服用する人全てに効果があるのでなく、例えば、90人の患者が同一の薬を服用した場合、その結果として、著効例は30人、全く無効例は30人、その中間例が30人である。薬の効果とはその程度のものであり、アリセプト同様新薬の効果も、先述した現象の枠から離れる事はないであろう。
ところで、生命生誕時の地球環境とは異なるものの、現在の地球環境も、ヒトを含む多様な生命体にとっては、過酷な環境であると言わざるを得ない。複雑な人間社会におけるストレスは免疫系の脆弱化を引き起こし、結果としてストレス病を生み出した。現代社会におけるうつ病の増加は、その象徴と言えるだろう。また、水を始め、飲食物に含まれる添加物などが原因となり、知らないままに糖尿病等の生活習慣病を引き起こしていると言える。
こういったことから、薬だけで病が治る地球環境ではないと私は考える。この地球上で、多様な生物が共存していける環境を、如何にして創り上げていくのか。
2012年3月25日
今川正樹