適応障害は症状の原因となったストレスがはっきりしていることが特徴です。少し考えてみれば「最近ショッキングなできごとや環境の変化があった」と症状の原因に思い当たります。あるいは、考えるまでもなく、ずっと頭を離れず、悩み気持ちがふさいでいたりすることもあります。
適応障害の診断基準(米国精神医学会による)にも、原因ストレスから三カ月以内に発症すると明記されています。
適応障害の大きな特徴に、症状は六カ月を超えないということがあります。原因となるストレスが取り除かれればすみやかに軽快します。この時間的な関係が重要なのです。ストレスが消えても六カ月以上症状が残るのであれば、別の病気、たとえばうつ病や気分障害、不安障害などが続いて発症したと考えます。ただ、ストレスの中には職場の人間関係のように、簡単に取り除けないものもあります。そのため適応障害が慢性化することもあります。
適応障害になる人は、まじめでがんばりすぎるタイプというのがこれまで多かったのですが、最近は違うタイプも増えてきています。
社会に出るまでの経験が少なく、困難な状況を乗り越えたり、折り合いをつけたりしたことがほとんどないタイプ、多くは20代から30代です。少し注意を受けただけで非難されたと受け取り、それに耐えられない、うたれ弱い人たちです。こうしたタイプは、ストレスとなった環境を変えてもなかなか改善していきません。治療にある程度の時間をかけて、じっくり取り組んでいきます。本人が、病気を誰かのせいにしたり、誰かに治してもらおうと頼ったりせず、自分で治そうと強く思うことが重要です。
文献1)貝谷 久宣:適応障害のことがよくわかる本 講談社
文献2)大熊 輝雄:現代臨床精神医学第12版 金原出版株式会社