アルツハイマー病の早期発見が難しいひとつの要因として、高齢による脳の変化と、病気による脳の変化の区別がつきにくいことがあげられる。かりに老人斑や神経原線維変化がアルツハイマー病の患者だけに特有のものであるなら、診断は容易に下せるが、実際は正常な高齢者にも観察できるので、診断が難しいという事情があるのだ。
なお、アルツハイマー病を除くほかの認知症の代表的なものとしては、脳血管性認知症がある。脳血管性認知症は血管の破損によって脳がダメージを受け、知力や身体機能に支障をきたすものをいう。
自著「透明な脳」より