現代社会と環境との関連

今川クリニックの院長ブログ

ここで云う現代社会は日本の現代社会、特に大都市に住む(職場をも含めて)人間を対象とすることを予め断って置く。
大都市の社会環境は、極めて複雑かつデジタル化が進行しており、その環境におおわれて生活をすることは容易でない。ましてや、この不況の折り、会社からは、職場での人間関係を潤滑にすること、また仕事のミスをしないことが要求され、ノルマを与えられる中、現役で働き家族の生活を支えることは、大変なことだと思う。
この社会状況から、ストレスが人々の心身に溜まることは、容易に推測できる。職場と家庭の二つの環境を健全にこなす事は、逆に云えばストレスをどう処理していくかと云う事であろう。
ストレスと云う視点から、若年性アルツハイマー病(以下AD)の発症が増加しているとの報告がある。ADに至る過程は多様な因子が絡んでおり、これまでの臨床経験から観て、昔風に云うと外面が良く内面が悪い人(家庭内では自己中心的・身内以外の他人には細やかな配慮をする等)にストレスが沈殿していく傾向がある。几帳面かつルーズを嫌い、何事も曖昧さを好まない。このような気質を有する人はADになり易い傾向がある。
若年と云っても50歳代に入ると色々な点で能力が衰え始める。そこにストレスや病が襲ってくる。例えば、癌・心筋梗塞・糖尿病・高血圧・高脂血症・動脈硬化等であり、これらの疾患を越えた所にADが待ち受けている。
それでは対処方があるのか?
それには、無駄な時間を過ごしたり、職場や家庭を離れて別の隠れ家(自分を取り巻く環境から解放される場所)を探すことが重要と考え、如何に、悪玉ストレスを善玉ストレスに変えるかが問題であろう。
ストレス以外の環境因子に、生活の様式、例えばタバコ・アルコール等に依存すれば先に述べた疾患に侵される可能性が高い。
尚、現代の食品には酸化物質が多く含まれており、それらが身体を構成する細胞を酸化させることに依り、細胞死を招く。又、大気中には炭酸ガス等の有害物質が蔓延・浸透しており、これらの現象も慢性疾患を誘発する一因である。

現代社会では脳にストレスを蓄積する傾向がある。職場・家庭の環境が悪い場合、ストレスが脳に強く溜まるのは確かなことであろう。特に、先に述べた気質の人は自己を抑制することでストレスの坩堝にはまる。
現代社会は、会話に重きを置くのでなく、メールなどの形で情報交換が主流となっているデジタル社会である。会話の持つ余韻ある「情」が無くなり、必要な情報だけが現代社会を歩いている。

この現象も人類の進化の一つであろう。私が思うには、自己が自己で在って自己でない現代社会・その中で生活する現代社会人には、ADの患者が増加する一方であろう。

2013/2/8 今川正樹

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