アルツハイマー病は認知症のうちのひとつである。発病のメカニズムはすべて解明されてはいないが、病状として、脳に多数の「老人斑」や「神経原線維変化」があらわれることなどが知られている。
老人斑とは、読んで字のごとく、脳にできる「斑」あるいは「染み」である。極めて大まかな解説になるが、これはタンパク質の老廃物が固まったもので、脳の神経細胞であるニューロンを殺すいたずらをする。老人斑は正常な人でも高齢になれば、ある程度までは見られるが、アルツハイマー病に侵されたひとの脳には、正常な高齢者よりも数が多い。
また、神経原線維変化というのも、やはり脳にできる「斑」や「染み」のひとつだが、老人斑とは違って、脳の細胞内に糸くず状になって固まる。神経原線維変化も、やはりアルツハイマー病を発症していない高齢者の脳にもあらわれる。
自著「透明な脳」より