現在、死因の上位に入る疾患は、癌、心疾患、脳卒中、肺炎であろう。これらの疾患の中で肺炎が上位にあるのは何故か?
肺炎について語る前に、イギリスの細菌学者であるAlexander・Fleming(1881-1955年)が、1928年にペニシリンという抗生物質を発見した。この物質が引き金となり、抗菌性抗生物質の発見が続いた。フレミングの功績が端緒となり、戦後死因のトップを占めていた肺炎を含む感染症が激減した。医療技術の発展とともに、慢性疾患が社会問題となっているのが、この国の現状である。
ところで死因の4番目である肺炎が増加しているのは、一つは誤嚥性肺炎であり、またマイコプラズマ肺炎であろう。近年、抗生物質に対する乱用の故、耐性菌が増加し、肺炎に罹ってもペニシリンをはじめ、その他の抗生物質に効かない菌が増えている。
この現象から認知症に焦点をあてれば、認知症の病状の進行により、口腔内での咀嚼且つ嚥下困難が生じる現象が増加しており、結果として誤嚥性肺炎が原因で死亡することが多い。すなわち認知症患者の増加が、肺炎を死因の4番目に位置付けている原因であろう。原因不明の認知症に対して根本的な方策は、現在の時点ではお手上げであろう。
こういった事実の情報から、マスコミは認知症を取り上げるのであろう。
真冬の夜(2012/1/29)
今川正樹