以前の当ブログで、日本にはデイサービスやショートステイという介護の良質なシステムがあるのに、イメージがあまりよくなく、宝の持ち腐れ状態ではないかとお話ししました。もちろん、制度的にも改善すべき点は多々あります。
ただそれ以上に、利用開始にあたり、当クリニックの患者様のなかにも、躊躇する方が多数いらっしゃいます。その多くが「みんなで集まって体操してご飯食べる、お年寄りが行くところ。それやったら家で毎日歩くから大丈夫。まだいかなくてよい。」とおっしゃっています。
しかし、アルツハイマー病の進行抑制ではなく、治療の新薬が発売されるのであれば、デイサービスなどの考え方も変えていき、「軽度認知障害の方が気軽に行ける学校や、サークル、ジム的なところ」が必要になってくるのではないでしょうか。
その役割を、デイサービスが果たせればベストですが、もしかしたら新たにそういった業種が生まれてくるかもしれません。肉体改造ジム RIZAPの成長、認知が広がるとともにジムなどのイメージが変わったような変化が出てくるかもしれません。
その一つの形態としては、今年になって、フジテレビのホンマでっか!TVやワイドナショーそのほか多数のテレビ、メディアに取り上げられているカジノ型デイサービスです。
お年寄りを引きこもりにさせない、特に外に出たがらない男性をどう引き込むかの取り組みとして、注目されています。また、諏訪東京理科大 脳科学の篠原教授のお話では、 「麻雀が脳の一部を活性化させ認知機能を高めるという研究結果はいくつかある。リハビリや機能訓練は、楽しみがなければ続かず、その効果も高まらないので、ゲームによるドキドキ感を一律に否定する必要はない。重要なのは、食事や体調管理、運動などとの複合的な取り組み。」であるとされています。
実際に、埼玉県の和光市は、10年以上前から高齢者対策に乗りだし、アミューズメント・カジノとよばれる、カジノを取り入れたデイサービスや特別養護老人施設を市を挙げて設立し、「和光モデル」とよばれる独自のノウハウを確立、成果をあげています。介護を必要とする状態の人がどれぐらいいるかを示す「要介護」認定率は、2014年のデータで和光の場合は10.2%と、全国平均の17.4%を大きく下回っています。
麻雀はMリーグというプロリーグも今年10月に新設され、マインドスポーツとして、オリンピック競技への採用を目指すとされています。
デイサービス、麻雀、などが持つ既存のイメージが変わり、ポジティブなイメージに変われば、高齢者の引きこもりを防ぐ効果的な対策として注目されるようになるのではないでしょうか。
文献1)大熊 輝雄:現代臨床精神医学第12版 金原出版株式会社
文献2)東洋経済オンライン:2014年2月28日掲載記事介護が少ない街、和光市の秘密