認知症新薬 期待大だがクリアすべき問題点は?

今川クリニックの院長ブログ

今回も日本経済新聞の記事から認知症新薬についてお話しさせて頂きます。認知症新薬について期待も大きいのですが、クリアすべき問題点とは?

記事を掲載させて頂きますのでご一読ください。

米当局承認 20年で4勝146敗

4勝146敗――。米国研究製薬工業協会によると1998年から2017年まで米国で開発された認知症関連の治療薬で、実際に米食品医薬品局(FDA)の承認を得られたのはわずか4件にとどまる。アルツハイマー病の進行を抑える治療薬が誕生すれば患者や家族の生活を守る福音になるが、課題は残る。

病気を治療する一般的な新薬とは違い、アデュカヌマブは病気の進行を遅らせる効果を持つ。東京大学の岩坪威教授「FDA側としても(今回の承認審査は)未知の体験となるだろう」と指摘する。業界では「認められる確率は半々」との評価もある。

また、仮に承認されても薬価をどのように設定するかも大きな問題だ。今回の治験では体重1キログラムあたり10ミリグラムの用量を投与した患者に有効性があり、体重60キログラムの人であれば毎月の投与量は600ミリグラムとなる。バイオ医薬品になるため製造原価は高く、年間の薬剤費は2千万円以上になる可能性もある。

日本で保険適用されるにはハードルが高く、海外でも低所得者・高齢者向けの医療保険でまかなうのは難しい価格帯になる可能性が高い。

ただ、社会保障費の抑制は先進国の共通の課題だ。米国ではアルツハイマー病に年間1400億ドル(約15兆円)の医療費を投じているが、患者数の増加で50年には1兆ドルに増えると予想されている。アルツハイマーの発症を5年抑える新薬が登場すれば、患者数は4割減り、年間3670億ドルの医療費を削減できるという試算もある。

アデュカヌマブの今回の発表に刺激されて、他の製薬会社の開発が活発になる可能性もある。限りある社会保障費のなかで、新薬を受け入れる準備も必要になりそうだ。

アミロイドβという脳のゴミを減らすという、アルツハイマー型認知症においては、根本的な治療になりうる可能性を秘めていますが、一方で人間が年齢を重ね100歳を越えると9割近くが認知症になり、寿命の限界は現時点では110歳あたりという事も踏まえると、認知症の完全な治療は不可能で、進行のスピードを抑制するのが治療目的になると、考えられています。

そこは、認知症治療薬全般に言える他の分野の治療薬とは異なる問題点となっています。極論すれば、薬飲んで治療できないなら、飲まなくてもいいよ。進行遅らせるのにどこまで意味があるのか?ということでしょうか。ただ、認知症専門医として日々診療する立場からすると、遅らせる事の重要性はとても大きく、御本人様だけでなく家族様にとってもとても意義のあることと信じています。ですので、早くこの新薬が日本でも処方できることを心待ちにしています。

今回も御一読いただき誠にありがとうございました。

文献1)2019年12月9日 日本経済新聞

2)大熊 輝雄:現代臨床精神医学第12版 金原出版株式会社

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