10月に入り猛烈な暑さもようやく落ち着き、秋らしい過ごしやすい気候になってきましたね。皆さんは秋と言えば何を思い浮かべますか?「食欲の秋」「行楽の秋」「芸術の秋」「読書の秋」…色々ありますが、今回は「スポーツの秋」にスポットを当ててみましょう。「運動」についてのお話です。
現代人は運動不足?
皆さんは普段の生活で運動する習慣はありますか?厚生労働省の調査では20歳以上で「1日30分程度の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している」運動習慣のある人の割合は、男性で35.5%、女性は31.5%。7割近い方々は運動の習慣がないことになります。
現代社会では、移動手段の発達やワークスタイルの変化(在宅ワークなど)、便利な家電の登場などにより、日常生活で体を動かす機会がどんどん失われています。
意識的に体を動かす習慣を身に着けていないと簡単に「運動不足」に陥ってしまいます。
運動の効果
しかし、「なぜ運動したほうがいいのか」という理由がわからないと、なかなか始められなかったり続かなかったりしますよね。そこで、ここでは「運動の効果」について紹介します。
肥満の予防・改善
エネルギーの消費が増え、余分な脂肪燃焼により健康的な体型を維持できます。
生活習慣病の予防・改善
インスリンの感受性が改善されることで血糖値が下がる、血管機能が改善され血圧が下がる、善玉コレステロールが増えることなどで血中の脂質が改善される、などの効果があります。
骨粗しょう症の予防
骨に刺激が加わることで骨の形成と吸収のバランスが整い、骨密度が改善します。
ロコモティブシンドロームの予防
「ロコモティブシンドローム」とは筋力低下、膝関節の障害、骨粗しょう症などで立ったり歩いたりする機能が低下し、要介護状態になるリスクが高くなる状態のこと。運動により筋力やバランス機能が向上することで、この状態を予防することができます。
認知症の予防
運動により脳の血流の増加、神経伝達物質の増加、また記憶をつかさどる海馬の萎縮が抑制されるなどの報告があり、これにより認知症のリスクを下げるとされています。
うつ病や不安症状の予防、改善
運動によりストレスホルモンの放出が抑制されます。また、セロトニンやドーパミンなどの脳内物質の分泌が増えることで気持ちが安定し、前向きな気持ちになります。
不眠の解消
運動により体温を一旦上昇させると、下がるときに眠気が誘発され、寝つきがよくなります。また、運動により分泌されたセロトニンから、夜になると睡眠を司るメラトニンというホルモンが作られ、分泌されることで質の良い睡眠を得られます。
いかがでしょうか?身体的な効果だけでなく、精神的にも様々な効果があることがわかりますね。
では、次にどのくらい運動をすればよいのか見ていきましょう。
一日の身体活動の目安
厚生労働省が作成した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」の中に、推奨される身体活動、運動の目安が以下のように挙げられています。
成人
- 歩行、又は同等以上の身体活動(*1)を毎日60分以上(1日約8000歩)
- 息が弾み軽く汗をかく程度の運動(*2)を週60分以上
- 筋力トレーニングを週2~3回
- 座りっぱなしの時間が長くなり過ぎないようにする
高齢者
- 歩行、又は同等以上の身体活動を毎日40分以上(1日約6000歩)
- サーキットトレーニング、ダンス、ラジオ体操、ヨガなど多要素を含む運動を週3回以上
- 筋力トレーニングを週2~3回(上記の多要素の運動に含めてもよい)
- 座りっぱなしの時間が長くなり過ぎないようにする
*1 歩行と同等以上の身体活動 …自転車に乗る、階段の上り下り、掃除機をかける、風呂掃除、犬の散歩、子どもと遊ぶなど
*2 息が弾み軽く汗をかく程度の運動 …ラジオ体操、速い速度でのウォーキング、ジョギング、卓球、パワーヨガ、水泳、バドミントンなど
ガイドには全体的な方向性として「個人差等を踏まえ、強度や量を調整し、可能なものから取り組む」、「今よりも少しでも多く身体を動かす」と書かれています。まずは日常生活の中で今より少し体の動きを増やすことから始めてみましょう。
- 歩く速度を少し早める。
- エスカレーター、エレベーターは使わず、階段で上り下りする。
- 近所の買い物には歩いていく
- 家の掃除をこまめにするなど。
これくらいならできそうな気がしませんか?
小さな事でも続けているうちに「これができたから、次はこれも…」と、少しずつ体を動かす習慣が身についていくものです。気候の良い季節。もう少しすると紅葉シーズンもやってきます。ちょっと外にお出かけしてみるのも良いですね。楽しみながら体を動かしていきましょう。
参考
- 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(厚生労働省)
- 健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)(厚生労働省)
- 令和4年国民健康・栄養調査(厚生労働省)