外来のみのクリニックに、患者と家族が来られる場合、家族は患者を診てもらい、且つ患者の診断を知りたい気持ちで来られる。さらに診断された病気が今後良くなるのかどうかを聞いてくる。患者、家族は良くなることを希望するのは当然と想っている。
考えて見れば、改善する疾患とそうでない疾患があるのは仕方が無いことだろう。私の臨床経験からすれば、患者も家族も一秒たりとも生きてほしい気持ちで一杯である。その根源には命の厳粛さがあるのだろう。
私の外来患者の大半は認知症であり、その中でもアルツハイマー病(AD)の患者が多く、且つ進行を抑えて欲しい気持ちであふれている。特に患者は不安を背追っている。薬だけ出して、悪くなれば歳が歳だけに仕方が無いだろうと言う医師も多いであろう。
産声あげた時から自明のことだろうが、成長し、大人になり、社会の組織で生産的に働き、結婚と同時に次世帯につなぐ子供を産み、この役目終えると、親は老化の途を歩むことであろう。これが自然界の大原則である。日本語の言う寿命であろうと私は.考えている。
ADの患者と家族さらに医師、看護士、介護士及び医療事務とが連携して、この病に先進的に立ち向かうことが重要だろう。
2013年12月7日
冬の青空にて 今川正樹