生命に関する酸素の運搬

今川クリニックの院長ブログ

胎児が母体から離れ、第一声の鳴き声を発する時、それが初めての肺呼吸であり、胎児ではなく独りの人間として、この地球上に現れた瞬間でもある。その瞬間から新たな人生が始まり、長くて遠い茨の道を歩んでいくのである。

太古の昔、水生動物は酸素の運搬にCu(銅)を利用していた。その後、陸上(植物)における進化が酸素を多く生み出し、酸素の効率を活かす為、水生動物は苦闘の末、陸上動物として陸に這い上がった。進化の過程で、何故このような苦闘を演じることになったのか。それは、陸に上がる為には、Cu(銅)ではなくFe(鉄)を必要としたからである。すなわち、酸素のやり取りは進化の産物である。

さて、周知のことではあるが、私たちの心臓は死ぬまで止まらない。心臓は酸素を運ぶ血液を全身へ送り出す大きな役割を担っている。心臓から送り出された血液は動脈を通り、毛細血管を経て静脈を通り心臓に戻ってくる。血管は動脈と静脈の二つに分類され、動脈は酸素を豊富に含んだ血液を全身へ運ぶための血管であり、一方、静脈は血管の末端で集めた炭酸ガスを心臓へ送り肺に戻す役割を担っている。これらの循環は人も含めて高等動物にとって必要不可欠な仕組みである。

次回は、青年期を過ぎ生命の峠を越えた人の血管(動脈)がどう変化するのか、「動脈硬化」という医学的用語を用いて書いてみたいと思う。

 

          桜咲く青空の一片の雲

2015/3/24 今川 正樹

関連記事

  1. 今川クリニックの院長ブログ

    透明な脳 ~第三章 風景を解釈する脳 実体験と追体験②

  2. 今川クリニックの院長ブログ

    アドラー心理学 II ~自分を変えるのに手遅れはない~

  3. 今川クリニックの院長ブログ

    透明な脳 ~第四章 全人格としての脳 知能と社会生活のかかわ…

  4. 今川クリニックの院長ブログ

    透明な脳 ~第五章 消えていく脳⑤ アルツハイマー病の症状

  5. 今川クリニックの院長ブログ

    科学技術の変遷と進化

  6. 今川クリニックの院長ブログ

    治療から介護

最近の記事 おすすめ記事
  1. 新生活

    2024.04.17

  2. 新年に寄せて

    2024.01.9

  3. 今川クリニックの院長ブログ
    新年のご挨拶

    2024.01.1

  1. 今川クリニックの院長ブログ
  2. 今川クリニックの院長ブログ
アーカイブ