認知症の多様性につき、その鑑別診断は容易ではなく、臨床の場面では、しばし混乱することがあるだろう。鑑別には、各疾患の症状の違いに大きな差があることを知ることが大切である。
今日認知症の中で、レビー小体型認知症が話題の一つになっている。この疾患の臨床症状は、一般的に言えば以下の通りである。
(1)注意、集中の変動
(2)繰り返し出現する具体的な幻視
(3)誘因のないパーキンソニズム
症状の出現の仕方は、まず幻視が現れ、次に記憶が曖昧となり認知機能の変動により患者自身が混乱をきたすようになる。その後歩行障害が現れ(この背後にはパーキンソニズムが隠れている)、進行すれば失禁も現れる。この疾患の副弐的特徴は、転倒、原因不明の意識障害、うつ症状、尿失禁等があげられ、進行性の認知機能低下により、日常生活に支障をきたしていく。
レビー小体型認知症の鑑別診断の対象疾患として、アルツハイマー病(AD)がある。ADの初期症状は物忘れが主であり、患者は不安感に襲われる。そして時を同じくして、品物の置き忘れや仕舞い忘れも現れてくる。これから診てもレビー小体型認知症とは異なる。ADの最大のポイントは発病すれば進行を止められないことであり、市販で販売されている認知症薬はADの進行を抑える効果があるとされている。
今回は簡単に、レビー小体型認知症とADの鑑別に触れたが、認知症の中には脳血管性認知症もあることも忘れてはならない。
?2015/3/16 春の高校野球の季節
今川正樹