9月に入って、残暑に台風に雷、天候がころころ変わる日が続くと体調を崩しやすいです。皆様いかがお過ごしでしょうか? こう暑い日が続きますと障害されやすいもの、今回は睡眠がテーマです。
特に最近は、高齢者の睡眠、認知症と睡眠の関係が注目され、テレビや雑誌などで特集されています。これから数回にわたり、できるだけわかりやすくぜひ知っていただきたい基本的な睡眠の知識をお伝えできればと考えています。
今回は、高齢者と睡眠についてお話していきます。
まず、大前提として年齢とともに睡眠は変化します。健康な高齢者の方でも睡眠が浅くなり、中途覚醒や早朝覚醒が増加します。また睡眠を妨げるこころやからだの病気にかかると、不眠症や睡眠時無呼吸症候群などのさまざまな睡眠障害が出現します。原因に合わせた対処や治療が必要です。
年齢とともに睡眠が変化する
年齢とともに体力が落ち、老眼になり、白髪が増えます。それと同じように睡眠にも変化が生じます。
若年者と高齢者の睡眠の比較
第一の変化は、高齢者では若い頃にくらべて早寝早起きになることです。これは体内時計の加齢変化によるもので、睡眠だけではなく、血圧・体温・ホルモン分泌など睡眠を支える多くの生体機能リズムが前倒しになります。
したがって高齢者の方の早朝覚醒それ自体は病気ではありません。眠気が出たら床につき、朝方に目が覚めて二度寝ができないようであれば床から出て朝の時間を有意義に使いましょう。
第二の変化は、睡眠が浅くなることです。睡眠脳波を調べてみると、深いノンレム睡眠が減って浅いノンレム睡眠が増えるようになります。そのため尿意やちょっとした物音などでも何度も目が覚めてしまうようになります。夜中に何度もトイレに目が覚めるのを気にして、夜あまり水分を取らないなどの対処される方もいらっしゃいますが、 夏場、エアコンをつけずに、水分をあまりとらず寝てしまうと、熱中症で命の危険もあるので気を付けましょう。
今回も御一読頂き誠にありがとうございます。
参考
現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄
e-ヘルスネット 厚生労働省
榎本みのり
認知症の睡眠障害. 老年医学 45:739-743, 2007.
三島和夫
高齢者・認知症患者の睡眠障害と治療上の留意点. 精神医学 49:501-510, 2007.
独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター(精神保健研究所・精神生理部)