物忘れの有る無し

今川クリニックの院長ブログ

物を忘れると云う現象は生理的範疇であって、物忘れと云う表現は認知症に関する知識が一般社会に広がっていることと連関しやすい傾向にあるように思われる。
しかし物忘れと云う言葉を使うとなると医学領域に一歩足を踏み入れた感がある。
認知症の分類は多岐に渡るが、アルツハイマー病に焦点を絞れば、症状の現れる以前に微妙な現象が現れている。しかし大半は見過ごされる。何故なら、会社組織の中では些細でよくあるミスをたまにする場合には許されるが、同じミスをする期間が長い場合、その時ミスを注意した人間も忘れている場合があるかもしれないだろう。また当の本人も記憶の彼方に去っているだろう。人は憶えては忘れる動物であるからであろう。医療、医学の進歩が緩やかに進歩している時代では見過ごしていたであろう。
平成の時代に入ってから科学技術の著しい進歩と情報が速やかにmediaから個々の家庭にテレビ等の媒体を通じて自然に入ってくる。関心のある人は見るだろうし、聞くだろう。この時代或いはこの段階の時期において、超敏感な人と高齢者を持つ家族の中に誰か敏感な人がいれば、何か変だと自覚する人がいるだろう。その敏感な人が、仕事または家での行動の流れを何気なく見ているだろう。それとは別に自分をも含めて余り敏感でない人は微妙な変化に気付かない場合が多い。

ところで、この病気に関して根本原因が解明されていない現状をかえりみると、アルツハイマー病と診断された場合、進行を遅らせる薬剤治療しか現在はない。また医師の側にも、訪れた患者に対し、「その程度なら心配はいらない」と帰宅させてしまうのは如何なものであろうか。せめて臨床観察及び画像データ、心理検査などを頭に入れておく必要があるだろう。
敏感な人が医師のもとに余り早く訪ねると、「この程度の物忘れは誰にでもある」と言われてしまう。患者本人としては納得がいかないだろう。
納得がいかない場合は診たての良い専門医を訪ねることが好ましいと考える。

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