前回は、動物の進化の過程の説きながら、解剖学の観点から動脈について述べた。
今回は、動脈がどのような経過を辿りながら、病的である動脈硬化症になっていくのか、簡単に述べていく。
人は生誕後、死に至るまでに二つの過程を経る。それは成長と老化である。成長とは、子孫繁栄の子供産み、子孫が成人となることを見極めることである。これが成長期の動物が果たす役割である。
その一方で老化期とは、子孫の発育過程を見守りながら、自らが老いの過程を見つめることであろう。
動脈は、成長期の段階から、内腔が狭くなり、かつ外壁が硬化する過程にはいる。そして、年齢を経るに従い、動脈の内壁に様々な物質が沈着する。老化期に入るとこの現象が現れ、動脈硬化症となるのである。
次回は個別現象の病理学的現象を述べたい。
初夏の陽日 2015/4/27
今川正樹