以前デール・プレデセン医師の著書「アルツハイマー病 真実と終焉」
という本について当ブログでもご紹介させて頂いたのですが、有難い事に評判がよく、他にもおすすめの精神科・心理学領域の本はないかという御要望を多数いただきました。ですので、時折話題になった精神科・心理学関連の本を御紹介しエッセンスだけでもお伝えできればと思います。
今回は、数年前から話題になりましたアドラー心理学について。
名前だけは聞いたことがあるという方が多いのではないでしょうか?一時期本屋さんで関連書が山積みにされていました。「嫌われる勇気」「勇気の心理学」「人生の意味の心理学」などの題名で色々関連書があります。これからはアドラー心理学に沿ってその考え方をご説明していきます。
アドラー心理学はまず、悩みの根源を知って幸せについて考えることから始まるといわれています。幸せと悩みは対極にあるような存在と考え、幸福感を遠ざける悩みを発想の転換により消すことが目標となります。
アドラー心理学では、「ヒトが抱える悩みはすべて対人関係である」と考えています。
例えば、会社や学校に行きたくない→苦手な人がいる、自分の意見が言えない→嫌われるのが怖い、やせたい→他人と比較して醜い自分が嫌だ、子育てがうまくいかない→親子関係に自信がない
など、『私たちの悩みには、必ず他者がかかわってくるので、対人関係が改善されれば悩みが解決し、幸せにより近づく』と考えているのがアドラー心理学です。対人関係は次の4つの要素に影響を受けるので、どれかが変われば影響を受けて自然と変化が生じます。
- 自分(自分の捉え方や行動)
- 相手(相手の捉え方や行動)
- 関係性(恋人同士、上司と部下といった関係)
- 環境(職場や住まいなど)
しかし、相手の考え方を変えるのは至難の業ですし、関係性を完璧にコントロールするのは難しい。理想の環境を追い求めるのも限界があります。つまり、対人関係を好転させたいときに即効性があるのは、自分の意志で自分自身を変えること「まず自分が変わること」が重要としています。
このあたりの発想は、CBT(認知行動療法)にも取り入れられていて、現代の精神療法にも応用されている重要な考え方になります。
アルフレッド・アドラー(1870年2月7日―1937年5月28日)は、約100年前に御活躍されたオーストリア出身の精神科医ですが、ジークムント・フロイト、カール・グスタフ・ユングといった今でも心理学の初期に学ぶ超有名な心理学者達と並んで評される現代パーソナリティ理論や心理療法を確立した一人と言われています。
このアドラー心理学は、現代社会においても大変重要な考え方になりますし、日本人向きの心理学と私は考えていますので、また次回もその理論をお伝えできればと考えております。
参考:現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄
参考:「Der Sinn des Lebens(生きる意味)」アルフレッド・アドラー
参考:嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え ダイヤモンド社 岸見 一郎
参考:勇気の心理学 Discover 永藤 かおる