前回、課題を解決するキーワードが「勇気」であるとお伝えしました。
アドラー心理学では「勇気=困難を克服する活力」であり、
「勇気がある人は、自己受容している」と表現しています。
活力には
① 身体的な強み
② 知的な活力
③ 感情的な持久力
④ 創造的なイメージ
などが挙げられています。
「自己受容=根拠をもとに自分を肯定的に味方につける態度・能力」 で、自己受容していると自然に他者も認め、他者と協力的な態度になり対人関係が良好になる。「Im OK. You are OK.」の精神と訳されたりします。 また、勇気は蛮勇とは違うと訳されます。意味は、勇気とは無理な挑戦、無茶な行動を求めない、乱暴な行為は勇気ではない。という事です。 そして、勇気の三要素として、
① 不確定な部分があるチャレンジを引き受ける覚悟
② 立ち向かえば克服できる課題と捉え努力する覚悟
③ 目標達成に向かい協力する覚悟
があると、アドラー心理学では考えられています。 そして、「勇気がある人は人に勇気づけができる」 「勇気がない人は人を勇気くじきする」 良好な信頼関係を築いていくには、上から目線の「ほめる」より共感の「勇気づける」がよいとされています。そのうえで、人生を楽しんでいる人は、みな自分や周囲を勇気づけることが得意であるとアドラー心理学では提唱しています。 この勇気、勇気づけ、勇気くじきの考え方は、実はひも解いてみると、日本人でも提唱される方が多いと考えています。 まず私の中で思い出されるのが、私も敬愛する京セラ・KDDI・日本航空でご活躍された経営者 稲盛和夫 先生です。 その経営哲学は、独特で「生き方」などの名著も多数ありますが、それらの著作の中から次回のこのブログでいくつか名言をご紹介したいと思います。
今回はまず劣等感についてです。劣等感には、 「持って良い劣等感」と「悪い劣等感」があるとアドラー心理学では考えます。そのうえで、「劣等感を味方につければ自分を成長させるきっかけになる」としています。ただ、劣等感をこじらせると肝心な時に課題にきちんと向き合えず、逃げてしまい、さらに落ち込み負のスパイラルにはいってしまう恐れもあります。つまり、「劣等感は付き合い方次第でできるだけ味方につけよう」と考えています。 そこで、アドラーは普段我々が何気なく使っている「劣等感」という言葉を三種類にわけて考えています。
① 劣等性 器官劣等性ともいわれ、持病や身体的な特徴に基づくもの 客観的に観察される「人との差異」
② 劣等感 理想や目標と現実とのギャップ、本人が引け目を感じていること
③劣等コンプレックス 自分がいかに劣等であるかをひけらかすことで、自身の課題を避けようとする姿勢です。過度な劣等感であり、アドラーは「ほとんど病気」と指摘しています。
これとは逆に「優越コンプレックス」もあり、自分の過去の実績や知り合いの偉大さをひけらかすことですが、これも自分に対する劣等感をこじらせた結果起こるものとしています。 私の言葉に言い換えると「現状認識を正しくしたうえで、理想と現実のギャップを意識し、努力の方向性を見極めるのが重要」ということになるでしょうか。改めて言われると「わかっちゃいるがそれができたら苦労がないよ」という事にはなりすね。難しいことです。 ともかく、こうしてライフスタイルとライフタスク(5つあり、仕事、交友、愛、セルフタスク、スピリチュアルタスクからなる)において、解決すべき問題点を自分を見つめなおし、探し出すところからアドラー心理学は始まります。そして、その課題の解決方法が勇気づけという発想です。ですから、アドラー心理学は「勇気の心理学」ともいわれます。次回は勇気づけに関してお伝えしたいと思います。
参考:現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄
参考:「Der Sinn des Lebens(生きる意味)」アルフレッド・アドラー
参考:嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え ダイヤモンド社 岸見 一郎
参考:勇気の心理学 Discover 永藤 かおる