インスリン抵抗性はアルツハイマー病の一因になる
また、現代の日本においては、摂取しすぎる栄養素の問題もあります。その一番の要素は、糖質になります。
人間の体は1日に約15グラムを超える砂糖を処理するようには作られていない。これはソフトドリンク1杯よりずっと少ない量になります。
グルコース(ブドウ糖)は血中濃度が一定値を超えると体に毒となる為、体から大量のインスリンがグルコース(ブドウ糖)を抑制しようと分泌されるが、グリセミック・インデックス(GI値)の高い食品を取ると、血中のブドウ糖が急上昇する為、ブドウ糖の血中濃度を急いで下げようと、膵臓から大量のインスリンが分泌される。
そして、細胞は絶え間なく流れるインスリンに対しては反応しなくなる。これがインスリン抵抗性と呼ばれるものです。
慢性的なインスリン高値はインスリン抵抗性をもたらし、インスリン抵抗性はアルツハイマー病の一因となる。理由は2つあります。
(1)インスリン抵抗性は2型糖尿病や脂肪肝、メタボリックシンドロームだけでなく、アルツハイマー病の一因にもなる。
その理由は、インスリンのシグナル伝達はニューロンの生き残りを助ける最も重要なシグナルのひとつだからです。 インスリンはインスリン受容体に結合し、ニューロンの生き残りを助けるシグナル伝達を引き起こす。このサバイバル・シグナルは、慢性的にインスリン値が高いと鈍化する。
(2)血糖値を下げる役目を終えたインスリンを分解する酵素をIDE(インスリン分解酵素)というが、このIDE(インスリン分解酵素)は、脳の中でアミロイドβの分解も担当している。
そして、IDE(インスリン分解酵素)はアミロイドβの分解とインスリンの分解の両方を同時に実行できない。
インスリン抵抗性がつくと、IDE(インスリン分解酵素)はより通常より多く分泌されるインスリンの分解で手が回らなくなり、アルツハイマー病の原因となる過剰なアミロイドβの分解ができなくなる。その結果、アミロイドβ値は上昇し、アルツハイマー病の原因となる。
高血糖は多数の異なるタンパク質に接着し、タンパク質の機能を妨げる。
グルコース(ブドウ糖)分子は、生化学的反応を起こし、AGE(終末糖化産物:毒性の高い老化タンパク質の1つ)を産生する。
AGEは体に様々なダメージを与える
AGE(終末糖化産物:毒性の高い老化タンパク質の1つ)は体に様々なダメージを与える。
(1)AGEは炎症の引き金となる。
(2)AGEはDNAや細胞膜にダメージを与える。
(3)AGEは血管を傷つけ、脳への栄養供給を減らし(2型アルツハイマー病の原因)、血液と脳の間のバリアにある漏れの原因となる。(1型アルツハイマー病の原因)
(4)動脈硬化や骨粗しょう症、白内障などにも関連。 インスリン抵抗性や高血糖を改善する為、以下の目標を達成できる対策を講じる事。
・空腹時インスリン値:4.5μIU/ml以下
・空腹時血糖値:90mg/dl以下
・ヘモグロビンA1c(エイワンシー):5.6%未満
アルツハイマー病予防の観点からは、糖尿病の早期発見・早期治療がものすごく重要だと考えています。一年に一回の健康診断、人間ドックではペースが遅く心配です。また、他の高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病もアルツハイマー病の次に多い、脳血管型認知症の原因となります。
当クリニックでは、生活習慣病の早期発見、早期治療にも力を入れております。内科学会にも所属しておりますので最新の治療薬をいち早く取り入れております。
少しでも気になる方がいらっしゃれば、お気軽の当クリニックまでご相談ください。
次回は、炎症と免疫システム、ストレスについての考え方をお話したいと思います。
今回も御一読頂き誠にありがとうございます。
参考
現代臨床精神医学 金原出版株式会社 大熊輝雄
アルツハイマー病 真実と終焉 ソシム デール・ブレデゼン
東洋経済オンライン2018年2月16日。5月11日