認知症と難聴の関係
3月に入り暖かい日も増えてきましたが、再び冬の寒さに戻る日もあり、寒暖差の大きい日が続いています。それでも梅が満開に咲き誇っているのを見かけたりと、春の気配を感じる日が増えてきました。季節の移ろいを感じる今日この頃です。
ところで最近「親(もしくは自分)のテレビの音が大きい」「会話の聞き返しが増えた」といったことはありませんか?年齢とともに耳が遠くなることは珍しくありませんが、難聴と認知症の間には関係がある可能性が指摘されています。
難聴は認知症のリスク因子のひとつ
世界的に有名な認知症研究の一つであるLancetCommissionの報告では、認知症の予防可能なリスクの中で「難聴」は最も大きい要因の一つとされています。また、ジョンズ・ホプキンス大学の研究では、聴力低下と認知症の関係を長期間追跡した結果、
- 軽度難聴:約2倍
- 中等度難聴:約3倍
- 重度難聴:約5倍
と、難聴が強いほど認知症のリスクが高くなる可能性が報告されています。
もちろん、難聴の人が必ず認知症になるというわけではありませんが、無関係ではなさそうだ、ということが分かってきています。
なぜ聞こえにくいと認知症と関係するの?
次のような理由が考えられています。
①脳への刺激が減る
耳から入る音の情報は、実は脳にとって大切な刺激です。聞こえにくくなると脳が使われる機会が減る可能性があります。
②聞き取るために脳が疲れる
聞こえにくい状態では、会話を理解するために脳が一生懸命働きます。その結果、記憶や思考など他の認知機能に負担がかかる可能性も指摘されています。
③人との交流が減る
聞こえにくいと
- 会話が億劫になる
- 外出が減る
- 人との交流が少なくなる
といったことが起こりやすくなります。こうした社会的な孤立も、認知機能低下と関係することが知られています。
「物忘れ」実は「聞こえにくさ」の影響かも?
当院でも物忘れを相談される方に対し心理テストを行いますが、聞こえが改善するだけでテストの点数が上がった方もいらっしゃいます。
聞こえが改善すると
- 会話が増える
- 表情が明るくなる
- 活動量が増える
という変化が見られることもあります。
認知症と難聴の研究は、現在も世界中で進んでいます。最近では「聞こえをサポートすることが、認知機能の低下を遅らせる可能性」を示す研究も報告されています。聞こえにくさは「年のせい」と我慢してしまいがちですが、知らず知らずのうちに脳の健康にもつながる可能性があります。認知症はさまざまな要因が関わって起こると考えられており、日々の生活の中でできる小さな工夫も大切です。日常の中での気づきが、認知症の早期発見や予防につながることもあります。聞こえを整えることも、その一つかもしれません。気になる変化があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
尚、当院では手軽に使える集音器を取り扱っています。補聴器のように音がハウリングすることもないので機器の調整をする必要もなく、価格も補聴器と比べると試しやすい価格です。
いきなり補聴器を購入するのは抵抗があるけれど、聞こえの改善ができるなら試してみたい、という方にも使いやすい機器です。院内ではお試し頂くことも可能ですので、お声がけ下さい。
春の訪れとともに、皆さまが穏やかで前向きな気持ちで新しい一歩を踏み出せますように。










