当院へ来院される患者の主な疾患は認知症が大半であり、その中でもアルツハイマー病(以下AD)が大半を占めている。この疾患のうち多くの患者が、狭心症又は不整脈を合併している事が多々観られる。
まず、臨床症状として患者に問診を行い、肩こりや発作性脈拍異常を訴える患者の場合、心音・放散痛・下肢に浮腫があるかどうかを調べる。これ等の症状があれば心電図を撮る。そして、古い方法ではあるが、心電図の所見はメジャーを用いて鑑別診断し、その結果、狭心症・不整脈が認められる事が多々ある。
その中でも稀に、重篤な不整脈を患っている患者がいるのも事実である。
メーカーは一応各薬剤の副作用の説明を記載しているが、このような患者が現在販売されている抗認知症剤を投与されている場合、とりわけADの患者に突然死が来る傾向がある。従って、抗認知症剤を投与する前に、脳以外の諸臓器の状態のチェックが必須である事を、強く訴えたい。
又、脳MRIでの検査で、ラクナ梗塞が比較的多くある場合、脳以外の臓器の疾患も疑い、例えば動脈硬化等を調べる事が肝要と考える。
長年の臨床経験と病理所見から、中枢神経系・中でも大脳の病巣が明らかになる。故に、認知症、特にADの患者にはこれ等の薬剤の投与は、慎重である事が望ましいと考える。
次回は膵臓について述べる。
2013/5/17
今川 正樹